ここだけのパイロットの話

危険!?滑走路に雪が積もったら飛行機はどうなる?

投稿日:05/11/2020 更新日:


Jです。

 

雪の中での飛行機の運航はとても気を遣います。

今回ですけども、雪が降ったり積もったりした場合の運航での注意点を簡単に紹介します。

雪の中の運航のことを僕たちは「COLD Weather Operation」と言います。

 

重要なのは以下の3点

これはイメージがつきやすいと思いますが、雪が降ると飛行機にとってはかなり不利になります。

離陸着陸の性能は劇的に悪化します。

どれくらい悪化するかというと、将棋で飛車と角を使わずに戦うくらいです。

何がどのように影響があるのか見ていきます。

 

まずチェックするべき項目はを挙げてみます。

①雪質

サラサラの雪、水分を大きく含んだ雪、溶けかけのシャーベット状の雪など雪質は様々です。

雪質が違えば飛行機に与える影響は全く違うものとなります。

したがって、雪の質が重要なのです。

具体的には

DRY SNOW(水分を含んでいない雪)
WET SNOW(水分を含んだ雪)
SLUSH(シャーベット状のべちゃべちゃな雪)

のように報じられます。

 

②積雪深

積雪深は滑走路に何ミリの雪が積もっているかどうかです。

滑走路に積もる雪は飛行機が地上滑走する際の抵抗になります。

日本では積雪深の単位はミリですが、海外ではインチで表すところもあります。

 

③Braking action

滑走路の滑りやすさのことです。

担当者は実際に滑走路に特殊な車で出ていって動摩擦係数を測定します。

その係数の大きさで滑走路の滑りやすさを6段階に分けて報じます。

具体的には

GOOD
Medium to Good
Medium
Medium to Poor
Poor
Very Poor

の6段階です。

これのいずれかが報じられることになります。

 

GOODはブレーキやステアリングの制動に何ら不具合を感じない程度です。

Mediumは、ややブレーキとステアリングの効きの悪さを感じるくらいです。

POORは、ブレーキとステアリングの効きが著しく悪く危険を感じる程度です。

Very POORになるとほぼブレーキやステアリングが効かない状態なので多くの航空会社では離着陸は禁止です。

 

これらの項目は全て各空港の担当者が滑走路・誘導路・エプロンの動摩擦係数μを測定して、その数値を発表します。

数値に関しては定期的に更新されます。

また、パイロットが実際に着陸して感覚的に通報することがあります。

大きく変化した時には不定期でも更新されていきます。

 

パイロットは発表された雪質・積雪深・Braking actionの情報を見て離陸性能と着陸性能を計算するのです。

数値によっては離陸不可・着陸不可となることもあります

 

離陸への影響

まず、地上走行が非常に危険なものになります。

滑るからです。

かなりゆっくり地上走行を行い、ブレーキはかなり繊細に扱わなければなりません。

雪が水分を含んでいる方がより滑りやすいので注意が必要です。

 

離陸性能への影響はどうでしょうか。

雪が積もると離陸滑走のときに抵抗となり、雪が無いときと比べて飛行機は加速しにくくなります。

また、不具合等で離陸を中止して飛行機が止まるまでの距離は、滑りやすく止まりにくいので長くなります。

 

つまり、雪が無いときに離陸する場合と比べて、より長い滑走路長が必要になってしまいます。

しかし、滑走路の長さは決まっています。

そこで、重量をいつもよりも軽くするのです。

雪が降ったら飛行機に乗せることができる重量が少なくなります。

 

もちろん離陸してしまえばその後は雪の影響は受けません。

 

着陸への影響

着陸後の滑走は滑りやすいので注意が必要です。

しかも、地上走行の時と比べてハイスピードです。

大型機の着陸時のスピードは新幹線の速度(約300km/h)と同じくらいです。

ブレーキの効きはかなり悪いのでリバース(逆噴射)が有効です。

ポイントは地上走行ができるスピードに減速するまで曲がろうとしないことです。

場合によっては滑走路上で1度止まるくらいの気持ちで良いと思います。

 

滑りやすいので着陸時の必要滑走路長は当然長くなります。

滑走路の長さは決まっているのでこちらも重量で何とか調節するしかありません。

 

しかし、悪いことばかりではありません。

積雪深が深ければ深いほど車輪にとっては抵抗になるので止まりやすくなります。

 

このように、雪が降ったら離着陸にかなり気を遣います。

ここに書いたことはごく基本的な大まかなことです。

他にもたくさん落とし穴があるのです。

 

まとめると、

 

要するに、

 

車の運転と同じだということです。








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