Jです。
皆さんパイロットの仕事と聞いてどのような内容を思い浮かべるでしょうか?
多くの人がパイロットは飛行機の運転手であるから「飛行機の操縦」が主な仕事だと思っていると思います。
確かに一昔前は操縦が主な仕事でした。しかし、科学技術が進歩して飛行機もそれに伴いかなり進化してきました。そうした時代の流れの中で、パイロットの仕事の役割は大きく変わってきました。
今回ですけども、現代におけるパイロットの仕事の本質について書いていこうと思います。
今でも操縦はもちろんパイロットの仕事の一部であることは間違いありません。しかし、その操縦はほとんどがオートパイロットによる自動操縦です。フライトのほとんど全部が機械による操縦なのです。
では、パイロットは何をしているのでしょうか?
仕事内容
操縦以外の仕事内容は以下の4つです。
①計器やシステムのモニター・操作
②管制官と常に連絡を取り合いながら、指示があれば従う
③ナビゲーション
④緊急事態があったときにどうするか考えている
この①~④の具体的な内容ついては他の記事に書いていますのでもしよかったらそちらの記事をご覧ください。
さて、この①~④は全て操縦ではありませんよね。
これがパイロットの仕事の本質を表しています。
一言で言うと、パイロットの仕事の本質は運航のマネジメントと危機管理です。
この本質は今も昔も変わりません。
操縦は機械が行いますが、そのコマンドを入力するのは人間です。機械が揺れる高度を勝手に避けて、最良の燃費で、最短の経路を勝手に飛んでくれるわけではありません。
そのようにパイロットは揺れの少ない高度の選定や針路のの決定をしつつ、キャビンのサービスの進行状況、遅延回復、気象状態のチェックなどをしなくてはなりません。
やることは盛りだくさんです。これらが全てうまくいくように運航自体をマネジメントしていかなくてはならないのです。
そしてもう1つの大きな仕事は危機管理です。
パイロットは飛行中に飛行機に重大な故障が起こった場合や、不測の事態が起こった場合に対処しなければなりません。
各故障に対する対処方法というのはパイロットは日頃から訓練を積んでいますが、実運航で必ずしも訓練通りの不具合が起こるわけがありません。
想定外のことが起きた場合でも無事に着陸しなければなりません。
過去の航空事故の歴史を振り返ってみると、事故というのはいくつもの不幸な偶然の積み重ねで起こります。
どこかで負の連鎖を断ち切ることができれば事故にならないのです。
スレット&エラーマネジメント
その負の連鎖を断ち切り事故に至る前に止めるための危機管理の手段のことをスレット&エラーマネジメント(thread & error management)と言います。
運航において想定される不安全要素(スレット)、もしくは人為的なミス(エラー)を誘発しそうなところをあらかじめ洗い出し、それに対してあらかじめ対処(マネジメント)することです。
要するに、何かが起こってから対処するのではなくあらかじめ危険の芽を摘んでしまうということです。
この危険の芽をパイロット2人で探し出し、対処を話し合いながら飛んでいるのです。
マネジメントと危機管理は機械にはできない
はたから見たらただ機械任せでパイロットは何もしていないように見えます。「操縦は機械がやってるんでしょ?」と言われても無理はありません。
しかし、実は頭の中ではスレット&エラーマネジメントを繰り返して目的地まで飛行を続けています。
あくまで機械は操縦を補助してくれるだけで飛行機を飛ばしているのは人間なのです。
以上です。