口述対策

【口述対策備忘録】騒音軽減方式まとめ(Noise abatement procedure)

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今回は「騒音軽減方式(Noise abatement procedure)」についての備忘録です。

騒音軽減方式とは飛行機の運航する上で出る騒音の影響を少なくする運航方式です。英語ではNoise abatement procedureと言います。

空港ごとに騒音軽減方式が定められています。

①優先滑走路方式(Noise preferential Runways)

滑走路の一延長方向が海であるなど騒音の影響が少ない地域である場合に、 原則として突風の効果を含む追風成分が5kts以下(注1)及び突風の効果を含む横風成分が15kts以下(注1)の時、かつ、航空輸送の公共性が損なわれない範囲で、そちら側に優先的に離着陸を行う方式である。

(中略)

注)(1)目安として理解されるべき数値であり、良好な滑走路においては、通常の場合、現用のジェット旅客機は性能上追風成分が10kt、横風成分が少なくとも25ktまでは安全に離着陸できることとなっている。

(AIP ADから抜粋引用)

通常滑走路は離着陸する飛行機にとって向かい風となるように使用しますが、追い風であっても特定の滑走路を優先的に使用する方式です。

できる限り海から着陸して、海に向かって出ていく方式です。

運用されている空港
RJSS、RJTT、RJOM

②優先飛行経路方式(Noise preferential routes)

優先飛行経路とは、 空港周辺地域における航空機騒音軽減のため、 離陸上昇時あるいは進入着陸時に、 運航の安全に支障のない範囲で定められた経路をいう。

(AIP ADから引用)

離着陸の飛行経路を指定、または特定の地域の上空の飛行を避ける方式です。

また、特定の時間帯(主に夜間)に特定のRWY、SID、STAR、Approach Typeが指定されている空港もあります。

運用されている空港
RJCC、RJSM、RJSS、RJSN、RJTT、RJNA、RJOO、RJBK、RJOI、RJFR、RJFS、RODN

 

離陸上昇の騒音軽減方式

③急上昇方式(Steepest climb)

離陸し一定高度に達した後、 エンジンは通常上昇出力のまま加速を抑え、 進出距離に対して最高の高度が得られるようなフラップ及び最適速度を維持して上昇する方式

(AIP ADから引用)

ICAOの手順だとNADP1(急上昇方式)がこれに当たります。

離陸後指定の高度まで急上昇する方式です。離陸後急勾配で上昇することで空港の近隣地域の騒音を軽減することができます。

運用されている空港
RJCH(RWY30)、RJSS(RWY27)、RJSN(RWY10)、RJAA、RJTT(RWY34R、RWY22)、RJNS、RJNA、RJOO、RJOM(RWY14)、RJOK(RWY32)、RJFF、RJFT、RJFM(RWY27)、RJFK

 

④NADP2

離陸し一定高度に達したのち、 上昇を維持しながらフラップを格納し、 速度の増加に伴う揚力の増加により高度を獲得する方式である。

(AIP ADから引用)

低高度で早めにFlapを収納してドラッグを少なくしてから上昇する方式です。

運用されている空港
RJTT(RWY34R)

 

⑤カットバック上昇方式

離陸し一定高度に達した後、 航行の安全に支障がない範囲内でエンジン出力を絞った状態のまま騒音の影響が大きい地域を低騒音で飛行し、 これら地域を通過後再び出力を上げ通常の上昇を行う方式

(AIP ADから引用)

現在国内の空港で実施しているところはないと思いますが、昔に伊丹空港と福岡空港で実施したことがあるそうです。

アプローチ・着陸の騒音軽減方式

⑥ディレイドフラップ進入方式(Delayed flap Approach)

フラップ下げ操作時期を、 航行の安全確保に支障とならない範囲で遅くする方式

(AIP ADから引用)

Flapを下ろすと抵抗が増えてそれに比例してエンジンの出力も大きくなり騒音が増えるのでそれを防ぐためにFlapを下ろすのを遅らせる方式です。

RJBB、RJGG、RJBEではFlapだけでなく、Landing Gearを下ろすタイミングも指定されています。

運用されている空港
RJCH(RWY12)、RJSS(RWY09)、RJSN(RWY28)、RJAA、RJTT、RJBB(RWY06L/R)、RJNA、RJGG、RJOO、RJBE、RJOM(RWY32)、RJOK(RWY14)、RJFF(RWY34)、RJFR、RJFT、RJFM(RWY09)、RJFK

 

⑦低フラップ角着陸方式(reduced flap setting)

滑走路長などに十分余裕がある場合最大フラップ角までフラップを下げず、 浅いフラップ角のまま着陸する方式

(AIP ADから引用)

Landing FlapのSettingでできるだけ浅いものを使用するようにする方式です。

理由はDelayed Flap Approachと同じです。

運用されている空港
RJCH(RWY12)、RJSS(RWY09)、RJSN(RWY28)、RJAA、RJNS、RJNA、RJOO、RJOM(RWY32)、RJOK(RWY14)、RJFF(RWY34)、RJFR、RJFT、RJFM(RWY09)、RJFK

 

⑧Reverse Thrust制限

航空機騒音軽減のため、 運航の安全に支障のない範囲で、着陸後のリバース ・ スラスト使用についてアイドルまでに制限する

(AIP ADから引用)

Full Reverseを禁止しているわけではなく、安全に支障が無い場合にilde Reverseにする方式です。

夜間の時間帯でReverse idleの指定がある空港が多いです。

運用されている空港
RJSS、RJOO、RJFF

 

⑨Displaced Threshold

Displaced ThresholdとはThresholdが滑走路の内側に入っている滑走路の事です。

これは日本のAIPには記載がありませんが、世界では騒音軽減方式として考えられているところがあります。

滑走路末端を内側にすることによってFinalの飛行高度が上がります。

⑩その他の騒音軽減対策

特定の地域上空の高度制限

低空飛行を禁止し、特定の地域の上空を飛ぶときには最低高度を指定している空港があります。

運用されている空港
RJOI、RODN

 

羽田空港RNP 16L/R ApproachでのFinal Path引き上げ

都心上空の上空を飛ぶので街への騒音を考慮して飛行機高度を引き上げています。

一般的な降下角3°Pathに対して、この方式では3.45°Pathとなっています。

出来るだけ高く飛んで羽田空港RWY16L/Rに向けて急降下するような方式になっています。

伊丹空港RWY32L離陸時のW2使用

伊丹空港のRWY32Lから離陸する場合は滑走路の末端まで行かずにW2のインターセクションデパーチャーを行うこととなっています。


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