口述対策

【口述対策備忘録】CATⅡ・ⅢでのLOCのズレとビームの角度について

投稿日:14/01/2025 更新日:


今回の記事はCATⅡ・CATⅢについてです。

CATⅡ・Ⅲの設備がある国内空港

CATⅡのみの空港

中部セントレアRJGG RWY18(3500m×60m)
関西国際RJBB All RWY(4000m&3500m×60m)

CATⅢのみの空港

釧路RJCK RWY17(2500m×45m)
広島RJOA RWY10(3000m×60m)

CATⅡ・Ⅲ両方ある空港

新千歳RJCC RWY19R(3000m×60m)
青森RJSA RWY24(3000m×60m)
成田RJAA RWY16R(4000m×60m)
羽田RJTT RWY34R(3000m×60m)
中部セントレアRJGG RWY36(3500m×60m)
熊本RJFT RWY07(3000m×45m)

滑走路末端LOC1dotのズレはどの位置か

ILSのGlide slopeのビームは滑走路末端で50ft(15m)の高さを通ります。

その位置でLOCがズレていた時にどれくらい滑走路の中心からズレているのでしょうか。

LOCのビームは飛行機が進入する方の滑走路末端でフルスケール横幅が210m(700ft)になるように設定されています。

これはRWYの長さが違っても、Threshold通過時のLOCのズレが同じになるようにするためです。

LOCのビームはRWY17末端で210mの幅(4dot分)となるように設定されているので、「210m÷4」で1dotあたり52.5mのズレです。これでは滑走路には降りられません。

さらにその半分の1/2dotだと、26.25mのズレです。

1/2dotでは45m幅(片側22.5m)の滑走路からははみ出しており、60m幅(片側30m)の滑走路には収まっていることが分かります。

1/3dotを考えてみると17.5mのズレです。

1/3dotだと45m幅(片側22.5m)の滑走路でも60m幅(片側30m)の滑走路でも滑走路の幅に収まっていることが分かります。

つまり1/3dotのズレだと45m幅でも5mの余裕があります。

各空港のデータ

各空港を見てみると

①2500m×45m
②3000m×45m
③3000m×60m
④3500m×60m
⑤4000m×60m

の5パターンしかありません。

滑走路の長さによってビームの角度が異なります。

①2500m×45mの場合

釧路空港が該当します。

(AIP AD RJCKから引用)

上記チャートより、LOCアンテナからRWY17の末端までの長さは2,734mです。

LOCのフルスケールの角度は「角度=2×tan-1(105/2734)」で求めることができます。

計算するとLOCビームのフルスケールは約4.4°となります。

②3000m×45mの場合

熊本空港が該当します。

(AIP AD RJFTから引用)

同じく計算するとLOCビームのフルスケールは約3.7°となります。

③3000m×60mの場合

青森、新千歳、羽田、広島の4空港が該当します。

(AIP AD RJSAから引用)

(AIP AD RJCCから引用)

同じく計算するとLOCビームのフルスケールは約3.7°となります。

(AIP AD RJTTから引用)

同じく計算するとLOCビームのフルスケールは約3.7°となります。

(AIP AD RJOAから引用)

同じく計算するとLOCビームのフルスケールは約3.6°となります。

④3500m×60mの場合

中部セントレア空港のRWY36が該当します。

(AIP AD RJGGから引用)

同じく計算するとLOCビームのフルスケールは約3.1°となります。

⑤4000m×60mの場合

成田国際空港が該当します。

(AIP AD RJAAから引用)

同じく計算するとLOCビームのフルスケールは約2.7°となります。

まとめ

・Threshold通過時にLOCが1/2dotズレていたら45m幅の滑走路からははみ出ているが60m幅の滑走路の中には収まっている

・Threshold通過時にLOCが1/3dotズレていたら45m幅でも60m幅でも滑走路内に収まっている


-口述対策
-

執筆者:

関連記事

救急用具

【口述対策備忘録】救急用具 編

飛行機の救急用具についての内容の備忘録です。 救急用具に関する法律 航空法第62条に規定されています。 (救急用具) 第62条 国土交通省令で定める航空機には、落下さヽんヽ、救命胴衣、非常信号灯その他 …

【口述対策備忘録】騒音軽減方式まとめ(Noise abatement procedure)

今回は「騒音軽減方式(Noise abatement procedure)」についての備忘録です。 騒音軽減方式とは飛行機の運航する上で出る騒音の影響を少なくする運航方式です。英語ではNoise ab …

【口述対策備忘録】航空保安無線施設の周波数と特性の違い

航空法施行規則第97条によると航空保安無線施設は「TACAN,DME,VOR,ILS,NDB,衛星航法補助施設」の6つです。これらは電波を使っています。 またそれ以外にも飛行機を運航する上でパイロット …

Glide slopeアンテナ

【口述対策備忘録】着陸するときに滑走路のどこを狙うか

パイロットは職人的な要素が強い職業だと思います。特に着陸は皆すごく拘りがあります。 着陸もオートパイロットで安全にできてしまう現代においてもほぼ全員が手動で着陸します。 今回は「滑走路のどこを狙ってア …

Glide slopeアンテナ

Glide Slopeの1dotはどれくらい?修正はどこまで可能?

今日はILSのGlide Slopeの話題です。 ズレた場合何ftまでであれば無理なく修正できるかなど実際に操縦する上で役立つ情報です。 Glide Slopeの構造のおさらい 基本的にGlide S …