今回のトピックは渋いですが「中層雲雲底乱気流」についてです。
飛行機が遭遇する注意すべき揺れ(乱気流)の一つです。
その性質、特徴、発生メカニズムや事前予測のポイントなどを解説していきます。
目次
中層雲雲底乱気流とは
中層雲とは主に以下の3つの雲を指し、中層雲雲底乱気流は主に中高度(10,000ft台中盤〜20,000ft台前半)に発生します。
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高層雲(Altostratus/AS)
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高積雲(Altocumulus/AC)
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乱層雲(Nimbostratus/NS)
積乱雲(CB)のような見た目の険しさがなく、一見すると層状で薄く、あまり揺れなさそうに見える雲であっても、雲底付近に近づき通過する際に強めの揺れに遭遇します。
下降中や上昇中に通過する時には見た目に惑わされず、警戒が必要です。
なぜ揺れるのか?(メカニズム)
穏やかに見える雲であっても、その「雲底」では以下のような物理現象が起きており、強い揺れを引き起こします。
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降水現象(地上まで届かず雲底で蒸発)
成長した雨粒や雪などの降水粒子が雲から落下しますが、地上には届かず雲底付近でそのまま蒸発(潜熱を吸収)します。
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蒸発による冷却と局所的な対流(揺れの原因)
降水粒子が蒸発する際に周囲の熱を奪うため、雲底付近に冷たい空気ができます。この冷却された空気は周囲よりも重いため沈降し、その高度帯で局所的な強い上下対流が発生します。
その対流が機体を揺らす直接的な原因になります。
起こりやすい季節は?
メカニズムから考えて、雲(降水現象)が無いと発生しません。
温暖で湿った大気が流れ込みやすく、中層雲が広範囲に発達する梅雨時期や秋雨前線の季節に発生しやすくなります。
国内悪天予想図(FBJP)での表記
悪天予想図(FBJP)では以下のように記載されます。
(気象庁のHPから引用)
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上のチャートの九州南部の「エリア①」が中層雲雲底乱気流のエリアに該当します。
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チャートの左下のREMARKS欄に「BASE」と記載があるのが最大の特徴です。
※②のエリアも雲のマークはありますが、こちらは「BASE」の記載はありません。
どうすれば予測できる?
悪天予想図(FBJP)のチェックに加えて、エマグラムやスキューTを活用することでより精度高く予測できます。
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逆転層の有無の確認
雲底付近に顕著な逆転層や極端な乾燥層が存在するかどうかを確認します。
気温線と露点温度線の開きが雲底より下で急激に広がる場所は、乾燥しているということなので降水があっても蒸発しやすく、冷却による対流が発生しやすい環境です。 - PIREP(パイロットレポート)の確認
同高度・同ルートを先行した機材からのTURB報告や雲底高度の情報は非常に貴重な判断材料になります。
まとめ
中層雲雲底乱気流は、積乱雲(CB)のような見た目の危険性がないため見落とされがちですが、「一見揺れなさそうな雲」の裏に潜む突然の揺れとして非常に危険です。
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FBJPで「BASE」の表記を確認する
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エマグラムで逆転層をチェックする
- 他の飛行機のレポートも参考にする
これらを意識し、事前の準備と予測を徹底してより安全で快適なフライトを目指しましょう!
航空気象は範囲が広く、丸暗記しようとすると挫折しやすい分野でもあります。
「気象を得意分野にしたい」という方は、ぜひ定評のある航空気象の専門テキストを1冊手元に置いて学んでみてください。
理解できると日々の天気図チェックやフライト前のイメージトレーニングが格段に面白くなります。
