ここだけのパイロットの話 空港

福岡空港【RJFF/FUK】

投稿日:28/11/2020 更新日:


福岡空港についてです。

2025年に新しい第2滑走路が新設されました。

福岡空港の特徴

福岡空港は日本でも有数の混雑空港です。滑走路は2本です。

2本の滑走路のうち1本は国際線の離陸専用(RWY16R/34L)でもう1本(RWY16L/34R)は着陸と国内線離陸共用なので常に激混みしています。

どれくらいの便数があるかは他の記事でまとめています。

福岡空港(RJFF/FUK)の混雑時間帯は?

市街地真ん中にあるので騒音問題が懸念されており「優先滑走路方式」の対策が取られています。

優先滑走路方式:騒音対策の一環で、優先的に一方の滑走路を使う方式。

福岡空港のの場合は優先滑走路はRWY16L/Rとなっており、可能かなぎりRWY16で運用します。

これはRWY34で離着陸をすると博多の市街地の真上を長く飛ばないといけなくなるからです。

一般的に滑走路は飛行機が向かい風で離着陸できるように運用しますが、優先滑走路方式が適用されている空港では追い風になったとしても優先滑走路で運用をします。

追い風が10ktを超えてくるとさすがにRWY16運用も限界になってくるため、その場合は使用滑走路がRWY34に変わります。

※1ktの追い風で飛行機の最大離陸重量は2~3トン下がってしまう

1.到着経路とアプローチ

優先滑走路RWY16L運用時

福岡空港では優先滑走路方式が取り入れられているため基本的にはRWY16Lへの着陸となります。

RWY16L時の各方面からの到着ルートは以下の通りです。

(RWY16L時のSTAR:AIP Aerodromes RJFFから引用)

沖縄などの方面からの到着便は南方向のOSTEPから入ってきます。[OSTEP ARRIVAL]

(RWY16時のSTAR:AIP Aerodromes RJFFから引用)

OSTEPHONOKAMAOHKEYAHAKSILPIKOPENTIXとなります。

どの方向からのArrivalも最終的にはENTIXに向かわされてそこからアプローチを開始します。

好天時:RNP RWY16L Approach

(RNP RWY16L Approach:AIP Aerodromes RJFFから引用)

福岡空港では天気が良いときと悪いときでアプローチの方式が違います。

天気が良いときにはRNP RWY 16L Approachが実施されています。

悪天時:ILS RWY16L Approach

(ILS RWY16L Approach:AIP Aerodromes RJFFから引用)

天気が悪いときにはILS RWY16L Approachが行われます。

しかしRNP RWY16L Approachでほとんど対応できるため、よほど天気が悪くないと行われません。

RWY34R運用時

優先滑走路方式があるため基本的にRWY16Lだが、追い風が10ktを超えてくるような時にはRWY34Rに変更されます。

福岡空港はすぐ北に海があるため海陸風の影響で昼間は北風が吹きやすく、そのため昼間はRWY34運用になることは結構あります。(特に夏場)

RWY34Rでのアプローチは主に3種類あります。

①Visual Approach RWY34R
②RNP RWY34R Approach
③ILS RWY34R Approach

天気が良いときにはVisual Approachが行われて、Visual ApproachができないときにはRNP Approachが行われます。

さらに天気が悪いときにのみILS RWY34R Approachが実施されます。

Visual Approach RWY34R

MALTSくらいまではRadar Vectorで誘導されてきて、パイロットが空港を視認できたらVisual Approachの管制許可が発出されます。

空港の西側を飛んでRWY34Rに着陸します。

RNP RWY34R Approach

(RNAV RWY34 Approach:AIP Aerodromes RJFFから引用)

Visual Approachができない天候のときにはRNP RWY34R Approachが行われます。

Visual Approachのときと比べてかなり空港の南まで飛行しないといけないので飛行時間が長くなります。

BANKUもしくはDAZAIからアプローチが開始されます。

ILS RWY34R Approach

(ILS RWY34 Approach:AIP Aerodromes RJFFから引用)

さらに天気が悪いとILS RWY34R Approachが行われます。

このアプローチも空港の南まで行かないといけないので時間がかかります。

2.出発と離陸経路

離陸に関しても優先滑走路方式は適用されます。

(Aerodromes:AIP Aerodromes RJFFから引用)

上記図の左上の黒い建物が国内線ターミナルであり、滑走路の下側の黒い部分が国際線ターミナルです。

国際線の出発機はRWY16R/34Lから離陸します。

国内線の離陸、全ての着陸機はRWY16L/34Rを使用します。

滑走路と滑走路の距離は210mしかなく、平行滑走路では国内最小間隔です。


-ここだけのパイロットの話, 空港

執筆者:

関連記事

飛行機の画像

パイロットになっても毎年毎年試験がある件。

パイロットの仕事をする上でライセンス取得は絶対条件です。 実はパイロットの免許は1回取ったらずっと使えるような無期限のライセンスではありません。 毎年試験があり、合格し続けなければ乗務を続けることがで …

火山灰(Volcanic Ash)の危険性!飛行機にとっては致命的

今回ですけども、飛行機と火山灰についてです。 日本は世界的に見ても多数の活火山を有する地帯です。 飛行機を運航する上で火山灰は天敵です。 火山灰の成分について 火口から出てくる噴煙の成分は何でしょうか …

航空無線通信士の試験は簡単!!

今回は「航空無線通信士」の国家試験について書きたいと思います。 パイロットは航空無線を使います。 無線を使うにも国家資格が必要で「航空無線通信士」という資格が必須です。 航空大学校での訓練も航空無線を …

パイロットが気象解析で何を見るかランキング

パイロットはフライトの前に気象情報は必ずチェックします。 しかし、具体的に何を見ればよいかは細かく決められておらず、人によって違います。 今回は、様々な方法を紹介します。 必須のMETARとTAF こ …

知覧の特攻平和会館に行ったら、、、泣けた

今回ですけども、知覧の特攻平和会館についてです。 特攻隊として出撃していったパイロットのことを考えるといろんな感情が生まれてきました。 知覧特攻平和会館とは 行ったことがない人のために特攻平和会館の説 …