Jです。
今回ですけども、今日は個別の空港のトピックです。
その空港とは那覇空港です。
那覇空港は国内で交通量が大きい空港の1つです。
その交通量をさばくために2020年の3月から滑走路がもう1本増えて、現在滑走路2本体制になりました。
ご存じの通り、沖縄には米軍基地があり、空域は我々民間機と米軍の航空機の両方が使用するため、エアラインの航空機には様々な制限が付されています。
どうなっているのでしょうか?
目次
嘉手納飛行場からの出発・到着機と那覇空港の出発・到着の経路が重なる
那覇空港と嘉手納飛行場の位置関係は以下の通りです。
滑走路は那覇・嘉手納ともに2本です。
那覇空港はRWY18R/36L、RWY18L/36Rとなっており南北に伸びています。
また、嘉手納飛行場はRWY05R/23L、RWY05L/23Rとなっており、北東-南西に伸びています。
このような位置関係だとどこで空路が交差するでしょうか?
那覇空港の北で経路が交差する
滑走路の向きからトラフィックが交差する場所が分かるかと思います。
図のように那覇空港の北側でそれぞれの空港の出発機・到着機が交差します。
管制官は飛行機がぶつからないように航空機間で間隔を取るのが仕事です。
気を遣う空港の1つでしょう。
那覇空港の北を通る時は1200ftで飛行する
具体的にどのような対策がなされているのでしょうか。
上記のトラフィックが交差する空域では基本的にはエアラインの飛行機が下を通って嘉手納の航空機がその上を通ることで間隔が取られています。
エアラインの飛行機の飛ぶべき高度はあらかじめ決められていて以下の通りです。
【RWY36R/Lからの出発機】
離陸したら一旦1200ftでレベルオフしてしばらく1200ftを水平飛行する。このように離陸後すぐに一旦低高度で水平飛行をすることをLow ALTITUDE LEVEL OFFと言う。
ただし、米軍の飛行機がいないときはそのまま上昇することが認められる。その場合は管制官に別途指示される。“maintain 5000”と指示されることが多い。
このように1200ft以上の高度に上昇するためには管制官の指示が別途必要になります。
離陸後即エンジン出力を絞るため乗客として乗っていたら不安になるかもしれません。
【RWY18への到着機】
滑走路はるか遠方から1200ftを維持する。
例えば那覇空港のRNP RWY18R Approachのチャートを見てみましょう。
滑走路末端から8.4NMの”JOINT”という地点を1200ftちょうどで通過しなければならない旨が書かれています。
このようにエアラインの飛行機の高度を1200ftという低高度に抑えることで米軍の飛行機との接近を防いでいるのです。
嘉手納飛行場関連の航空機の方にも制限あり
那覇空港関連の飛行機が制限を守っても嘉手納の飛行機が自由に飛んだのでは意味がありません。
嘉手納関連の航空機にも高度の制限が付されています。
試しに嘉手納飛行場のRWY23から出発する飛行機が飛ぶ経路について見てみましょう。
(AIPのStandard Departure Chart-Instrument (TUCOF)から抜粋)
これは嘉手納RODNの”TUCOF Departure”のチャートの一部です。
これを見れば分かるように、“SNUUP”と”TUCOF”というポイントを少なくとも2700ftで通過しなければならない旨が記載されています。
那覇のRWY18への到着機は1200ftで飛んでいるわけなので、嘉手納の出発機が2700ftでこのポイントを通過したとしても1500ftの高度差があることになり衝突することはありません。
このように那覇空港は全国的に見ても特殊な空港なのです。
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