今回ですけども、コックピット内でのパワハラについて書いていこうと思います。
個人的にパイロットはいい職業だと思う反面、これだけは本当にどうにかしてほしいと思います。
昔はもっとひどかったという話を聞くので今は少しはまともになってきました。
パイロットの職場はパワハラ発生の環境がそろっている
パワハラとは職務上の立場の優位性を利用して、立場が下のものに嫌がらせを行う行為です。(要するに弱い者いじめ)
パイロットの訓練・試験は受験のように点数化されません。
教官・審査官が見てその人が合格か不合格かを主観的に判断するという方式です。
したがって、教官・審査官のさじ加減ひとつで訓練生を落とすことができます。
不合格の理由は後付けで何とでもなります。
訓練生なので完璧ではありません。気に入らない訓練生を何かのミスを口実にパワハラと言われないようにしれっと落とすことは可能です。
そういうことがあるので訓練生からしたら理不尽なことをされても、歯向かったら落とされるのではないかと思うでしょう。
自分のパイロット人生がかかっているとなったら我慢するしかありません。
訓練生にとって教官・審査官の立場的優位性は相当なものです。
そして、訓練はコックピット(もしくはシミュレーター)という密室で教官・審査官と訓練生だけで行われます。
この点もパワハラが起きやすい環境だと思います。
第三者の目が届かないからです。
もうひとつパワハラの起こりやすい環境として、航空法による機長の権限があります。
機長には絶大な権限が法的に与えられているのです。
立場的にも法的にも立場が上になるのです。
以上のことから
②密室
③法的にも絶大な権限有
これらがそろっているのでパワハラが非常に起こりやすい環境にあります。
「指導の行き過ぎ」=「パワハラ」ではない
勘違いしている人が多いのですが、指導の行き過ぎがパワハラとなるわけではありません。
指導力のない勘違いしている人が「今はちょっと強めに言ったらすぐパワハラになる」とよく言いますが、そんなことはありません。
ダメなことはダメと伝えなければいけません。
直らない場合は強く言わなければならないときもあると思います。
指導とパワハラは全くの別物です。
例えば、「人間のクズ」「お前もバカならお前の家族もバカ」「こ〇すぞ!」「〇ね!」などの暴言(←実際に言う人います)、殴る蹴るの暴力は指導でしょうか?
100人いれば100人が指導ではないと答えると思います。
外資であれば訴訟されてすぐにクビです。
パワハラは指導とは関係がないのです。
怒鳴ったり、威圧感を与えても上達しない
指導時に中には怒鳴る人(シャウト系と呼んでいます)、明らかに不機嫌をまき散らす人が少なからずいます。
それらは100%意味がないと思っています。
まず、訓練生は大学を出たいい大人です。
怒鳴って言うことを聞かせるという発想自体が幼稚で浅はかですよね。
中には、それがあるとピリッとして訓練が締まるという人がいますが、それは間違っていると思います。
パイロットの訓練を受けるにあたり、他人にピリッとさせてもらわなければやらない人というのはその時点で終わっています。
人の命を預かる仕事につく訓練をするのだから誰かに言われなくても自分自身でモチベーション保てよって話です。
ましてや、ほとんどの人はパイロットになりたくて訓練しています。
放っておいても頑張ります。
教官に怒られるから勉強するという人はそもそも向いていません。きっとどこかで不合格になるでしょう。
また、怒鳴ったりよく感情的になる指導者は「自己満足型」が多いです。
その言動が訓練生のためになっているかは二の次なので、とても独りよがりな行動です。
教官の仕事は訓練生を合格レベルに成長させることです。
怒鳴るのはエネルギーを使いますが、そのエネルギーは無駄になっていることが多いのが現状です。
訓練の指導で怒鳴ったりするのは別にパワハラではないかもしれませんが、僕は嫌いです。
普通に言われれば分かります。
また、「厳しい態度で接するのは、あえて緊張を与えてその中でも力を発揮できるようにしている」という人がいます。(圧迫面接的な考え)
それは指導力がない人の言い訳です。
外資では訓練生がフェイルしたら教官も連帯責任でクビというところもあるそうです。
怒鳴られるかもしれないと委縮することと、墜落するかしないかの命がかかった場面での緊張感は全くレベルの違う話です。
少し考えれば分かるはずです。
時代は平成も終わり令和なので昭和のパワハラ野郎はさっさと引退してほしいですね。