Jです。
よく質問で「パイロットに女性はいますか?」と聞かれます。
パイロットは男の職業というイメージはもはや過去のものです。
現在では女性のパイロットが多く活躍しています。
今回ですけども、そんな女性パイロット事情について書いていきたいと思います。
女性パイロットの人数はまだまだ少ない
まず、よく聞かれるのは割合です。
航空大学校では各回期に1人いるかいないかといったところです。
航空大学校の女性の訓練生の割合は0.5%下回るくらいです。
全世界で見ても5%ほどと言われています。
少ないと思うかもしれませんが、これでも増えてきている方なのです。
昭和29年に航空大学校が設立されてからというもの、昔は航空大学校の寮には女性が入学するという例が無かったので部屋・トイレ・風呂の作りは男性用の作りだったようです。
しかし、今では女性が入学してくることが当たり前になっているため、部屋・トイレ・風呂は全て男女別で完備しています。
航空身体検査「身長」と「妊娠」の取り扱い
女性パイロットにとっての身体検査上の懸念事項は「身長」と「妊娠」だと思います。
まず、身長についてですが、実は航空身体検査のマニュアルには身長に関しての規定はありません。
しかし、航空大学校の令和3年度募集要項を見てみると「身長158cm以上」とあります。
これは、航空大学校が独自に設けている制限であると考えられます。
したがって、身長は法的要件ではないので、身長が158cm未満であってもパイロットになれないわけではありません。
そして、妊娠についてですが、実はこちらも妊娠で即乗務停止になるわけではありません。
令和元年6月17日一部改正が行われた航空身体検査マニュアルには以下のように規定されています。
1.身体検査基準
妊娠により航空業務に支障を来すおそれがないこと。2.不適合状態
2-1 正常妊娠でないもの
2-2 妊娠の第12週まで及び妊娠第27週以降
2-3 航空業務に支障を来す妊娠に伴う合併症(悪阻及び妊娠高血圧症候群等)又は
流産若しくは早産の徴候のあるもの(航空身体検査マニュアルから引用)
このように、上記の不適合に該当していなければあとは担当医師の判断です。
上空では気圧は低いという特殊な環境であり仕事内容はハードであるため、担当医師は慎重に判断しているようです。
何かひとつでも不安要素があれば許可が下りないでしょう。
とはいえ、男性に比べて妊娠・出産により乗務できない期間は生じるわけなのでその分技量の維持や資格維持は大変でしょう。
休んだからといって機長に昇格できなかったりというようなことはありません。
機長昇格はあくまでもその人の実力だけで判断されるのでその点は心配ありません。
女性であることが有利に働くことがある
女性であるということが有利に働くことがあります。
それは人数が少ないため何もしなくても必ずみんなから覚えられるということです。
就職の面接でも必ず覚えてもらえるでしょう。
仕事でも1度一緒に乗ったら必ず覚えられると思います。
男性のパイロットであれば、基本的には覚えられません。
男性でも「かなり優秀」もしくは「よっぽど仕事ができない」のどちらかであれば覚えてもらえますが・・・。
自分を覚えてもらえた方が仕事はスムーズに行うことができるでしょう。
女性の方がパイロットに向いている?
性別によって性格や特徴を論じるのは好きではありませんが、一般的に男性は一点集中になりやすいと言われています。
テレビを見ているときに話しかけたら男性は話の内容をほとんど聞いていませんが、女性はテレビの内容も会話もどちらも把握できるという話を聞いたことがあるかもしれません。
その理由は、男性はもともと動物相手に狩りをするという役割だったので一点集中するようにDNAができているからです。
逆に女性は一点集中ではなく、広い範囲に注意を向けることができると言われています。
この特性が正しいのであれば、女性の方がパイロットに向いています。
パイロットは一点集中してはいけません。
操縦では姿勢、高度、速度などの複数のものを同時に追わなければなりません。
また、緊急事態になった時には緊急事態の対処、CAとの情報共有、会社との連絡などやらなければならないことを同時にたくさん抱えることになります。
男性は訓練で「一点集中になるな」と何度も怒られてきましたが、女性はそれが初めからできてしまうのです。
環境はまだまだ男性が多いですが、女性も次第に増えてきています。
女性であっても不利にはなりません。むしろ有利なのではないでしょうか。