Jです。
今回ですけども、計器飛行証明というライセンスについてです。
エアラインパイロットとして飛ぶための必須のライセンスです。
航空大学校では最後の仙台課程で取得することができます。
この計器飛行証明はどのようなライセンスなのでしょうか?
目次
計器のみに頼って飛行するにはこの免許が必須
飛行機が雲に入ってしまうと操縦室の窓は真っ白になってしまい、外を見ることはできなくなります。
エアラインでは雲に入るのは当然です。雲に入らなければ商売は成り立ちません。
雲に入っているときはパイロットは操縦室の中にある計器だけを見て速度・高度(もしくは降下率)・位置・針路を維持します。
外を見ることができない状態で計器だけを見て操縦するにはそれなりの訓練が必要です。
それを航空大学校最後の仙台課程で訓練するのです。
仙台課程で初めて雲に入る
仙台課程に来るまでは雲には1度も入りません。
宮崎フライト課程では事業用操縦士の資格を取りますが、その訓練過程においても雲には一切入ってはいけないことになります。
これが、意外に知られておらず、一般的にはパイロットの訓練は空を飛ぶわけなので雲には当たり前のように入ると思われています。
では、仙台課程より前にある帯広や宮崎課程で天気が悪くて雲が広がっているときはどうするのでしょうか?
帯広や宮崎課程では天候が悪いと訓練は中止
帯広・宮崎課程では天気が悪いと雲に入ってしまう恐れがあるため訓練は行いません。
したがって、梅雨時期などは訓練の進捗が遅れがちになってしまいます。
また、帯広では夏の初めころは海霧が出て真っ白になってしまいます。
霧も雲と同じですので入ってはいけません。
ひどいときは月から金まで天候不良で訓練ができないことがあります。
訓練ができないときは自由時間になります。
どれくらいの天気であれば飛んでいいのか?
天気が悪ければ訓練は中止になると言いました。
ではどれくらい悪かったら飛んではいけないのでしょうか?
パイロット間で天気の良し悪しの認識は違うため、航空法で具体的に数値が決められています。
雲に入らずに常に外の景色を視認しながら飛ぶ方式を有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rule)といいます。(以下VFRといいます)
VFRで飛行できる条件(VMC)
VFRで飛行できる気象条件のことを有視界気象状態(VMC:Visual Meteolorogical Condition)といいます。
条件は以下の通りです。
[10000ft未満]
・離着陸する飛行場周辺の視程が5km以上かつ雲高が1000ft(300m以上)ないとそもそも離発着不可
・飛行視程5kmかつ飛行機から水平距離で600m以上雲から離れること、かつ飛行機の飛んでいる高度から上方500ft、下方1000ft雲から距離を取る
[10000ft以上]
・飛行視程が8km以上かつ飛行機から水平距離1500m以上雲から離れる、かつ飛行機の飛んでいる高度上方下方1000ftは雲から離れる
これらの値が基本です。あくまで管制区の話で他にも細かい規則・例外はありますがここでは割愛します。
このように具体的な値が決められていて、これらの値を守ることができそうにないときは訓練はやりません。
その判断も含めて訓練です。
計器進入方式の練習
計器飛行証明の訓練では雲に入ると言いましたが、いつ雲に入るのが最も危険でしょうか?
それは離着陸の時です。
特に目の前が見えずに滑走路高200ft(60m)の地点まで進入する練習は最初は怖いです。
この計器進入方式の練習をする時は天気が悪い方がためになるのですが、そんな時に限って晴れたりします。
そういう時は操縦室の窓に内側からフードを被せて外を見えないようにします。
訓練生の前だけを覆って教官の側は見えるようにしています。
したがってこの課程では天気が良くても悪くても訓練を行うことができます。
このような過程を経て計器飛行証明を取るのです。