ここだけのパイロットの話

パイロットの出身ソース(Source)の違い

投稿日:12/12/2020 更新日:


パイロットの出身ソース(Source)はたくさんあります。

「出身ソース」というのはそのパイロットがどこで教育を受けたかを意味します。

今回ですけども、出身ソースによって能力や、傾向に違いがあるのかを独自の調査でまとめてみました。

出身ソースは大きく分けて4つ

出身ソースは大きく分けて以下の通りです。

①自社養成
②航空大学校
③私立大学の操縦士養成学科
④ライセンス自己取得

ちなみに僕はこの中の②航空大学校出身です。

各出身ソースの詳しい話は他の記事で書いていますのでよかったらそちらの記事を読んでみてください。

パイロットになるにはどうしたらいいですか?方法を教えてください。

この記事を読んでいただけたら分かるのですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

一般的に育った環境が違えば、考え方も違うはずですが実際のところどうなのでしょうか?

各出身ソースの違い(機長談含む)

僕は航空大学校出身なので結局は他のソースのことは分かりません。

したがって、ここからは僕の経験による考えがある程度入ります。

①自社養成出身者の傾向

100倍もの高倍率を潜り抜けてきた人材なので英語力を始め、基礎的な学力・理解力は高いです。

僕の個人的な認識では運の良いエリートです。

いい大学を出ている率は高いです。

経験上、この人能力すごいなと思う人は大体が自社養成です。

②航空大学校出身者の傾向

航空大学校は歴史ある国立のパイロット養成機関であり、全パイロットの4割は航空大学校出身です。

試験倍率は10倍弱と自社養成に比べては低いです。

そのため、航大出身者は英語が苦手な傾向にあります。

以前どこかで書いたかもしれませんが、以下の会話は有名です。

機長「君、出身ソースはどこ?」

FO「航大です!!」

機長「そっか、俺も航大。だから君が英語できないのは知ってる」

FO「(笑)」

機長曰く、航空大学校出身者は体育会系でバカで元気というイメージがあるそうです。

③私立大学の操縦士養成課程出身者の傾向

私立大学の操縦課程は実は昔は有りませんでした。

自社養成や航空大学校に比べると最近始まった比較的新しいソースなので会社にとってもまだ浸透しておらず、人によって評価はマチマチです。

私大はお金がかかります。

親に大金を出してもらっている人と自分でローン(奨学金)を組んで学んでいる人とでは意識に差があるとも聞きます。

心に余裕があり品がある人が多いかなという印象です。(航大出身者が品がないとかそういうことを言っているわけではありません)

④ライセンス自己取得の人の傾向

ほとんどの人が一度違う職について貯めた自分のお金でライセンス取得しています。

したがって、人生経験が豊富で広い視点を持っています。

会社でずっと訓練していれば会社が全てになりがちですが、そういう方は冷静に俯瞰して物事を見ることができます。

フライトとは直接関係がなくても考え方など学ぶべきことがたくさんあると思います。

同じ歳でも先輩なんじゃないかと思うことすらあります。

出身ソースは違えど同じ会社のパイロットであればみんな同じ

さて、特徴はいろいろありますが、ソースによってパイロットの能力として優劣はあるのでしょうか?

結局よく分かりません。

良いところもあれば悪いところもあります。

しかし、1つ確かなのは出身がどこであれ、その会社に採用されたということは会社が求める能力は全員が持っているということです。

出身ソースでの教育方法に違いがあったとしても、会社に入ってからはその会社の訓練をするわけです。

その過程で会社の求めるパイロット像に寄っていくと思います。

学歴と同じで結局は個人にかかっている

良い大学を出たから仕事ができるというわけではないのと同じで、出身ソースも学歴と同じくらいの意味しか持ちません。

結局個人の頑張りなんです。

入社当初はみんなどんぐりの背比べです。

会社の訓練が終わって、パイロットになってからが勝負です。

そこで「定期試験だけ受かる最低限の勉強で楽をするか、ちゃんと勉強するかで大きく能力は違ってくる」とある教官に言われました。

(良いこと言うなー)


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