口述対策

【口述対策備忘録】救急用具 編

投稿日:29/12/2023 更新日:


Jです。

飛行機の救急用具についての内容の備忘録です。

救急用具に関する法律

航空法第62条に規定されています。

(救急用具)
第62条
国土交通省令で定める航空機には、落下、救命胴衣、非常信号灯その他の国土交通省令で定める救急用具を装備しなければ、これを航空の用に供してはならない。
(航空法から引用)

具体的な内容は航空法施行規則第150条に書いています。

航空法施行規則第150条は第1項~第5項まであります。

救急用具は定められた期間毎に点検する必要があり、それは航空法施行規則第151条に書かれています。

航空法施行規則第150条第1項

ここでは航空運送事業の用に供する飛行機(いわゆるエアライン)の部分のみ抜粋します。

①陸から遠く離れた水上を飛行する場合と②陸の近くを飛行する場合で搭載しなければならない救急用具が違います。

①陸から遠く離れた水上を飛行する場合とは

陸から遠く離れたと書きましたが、実際にどれくらいの距離なのかは航空法施行規則第150条の表に以下の記載があります。

緊急着陸に適した陸岸から巡航速度で二時間に相当する飛行距離又は七百四十キロメートルのいずれか短い距離以上離れた水上を飛行する場合
(航空法施行規則から引用)

たいていの場合は巡航速度で2時間の進出距離よりも740kmの方が短いので740kmが適用されます。

740kmはおよそ400NM(マイル)です。

日本の国内線では陸から400NM以上も離れて飛行することはないので主に洋上を渡る国際線の飛行機がこの区分に該当します。

この場合に搭載しなければならない救急用具は以下の通りです。

搭載しなければならない救急用具

・非常信号灯
・防水携帯灯
・救命胴衣
・救命ボート
・救急箱
・非常食糧
・緊急用フロート

以上の7項目を必ず搭載しなければなりません。

②陸の近くを飛行する場合

同じく航空法施行規則第150条によると以下の記載があります。

緊急着陸に適した陸岸から九十三キロメートル以上離れた水上を飛行する場合
(航空法施行規則から引用)

93kmは約50NM(マイル)です。

主に国内線や短距離国際線はこちらの区分になります。

この場合に搭載しなければならない救急用具は以下の通りです。

搭載しなければならない救急用具

・非常信号灯
(※航空機用救命無線機を装備した航空機は除く)
・防水携帯灯
・救命胴衣
・救急箱

以上の4項目を原則搭載しなければならないと書いています。

ちなみに一瞬たりとも水上を飛行しない場合もありますが、その場合は「防水携帯灯」ではなくて「携帯灯」で良いことになっています。

非常信号灯については、航空機用救命無線機を装備した航空機であれば搭載しなくてもよいということになります。

航空機用救命無線機はELT(Emergency Locator Transmitter)とも言います。

航空法施行規則第150条第4項(後述してます)によると、飛行機はELTを最低1つは装備しなければならないので事実上「非常信号灯」は不要ということになります。

航空法施行規則第150条第2項

旅客を運送する航空運送事業の用に供する航空機(法第4条第1項各号に掲げる者が経営する航空運送事業の用に供するものを除く。)であつて客席数が60を超えるものには、救急の用に供する医薬品及び医療用具を装備しなければならない。
(航空法施行規則から引用)

「法第4条第1項各号に掲げる者」というのは要するに外国人のことです。

客席数が60を超える場合は、この規則により、医薬品と医療用具を装備しなければなりません。

具体的な内容は通達に書いています。

救急の用に供する医薬品及び医療用具並びに感染症の予防に必要な用具について

航空法施行規則第150条第3項

第3項は落下に関する規則です。

試験飛行や曲技飛行などを行う飛行機に適用されることで、航空運送事業のエアラインに落下は不要なので割愛します。

航空法施行規則第150条第4項

航空法施行規則第150条第4項は航空機用救命無線機(ELT)についての規則です。

航空機は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の中欄に掲げる数量の航空機用救命無線機を同表の下欄に掲げる条件に従つて装備しなければならない。
(航空法施行規則から引用)

表の内容は細かいので引用しませんが、航空機は必ずELTを装備しなければならないと決められています。

装備しなければならない個数が条件によって異なり、1つまたは2つです。

航空運送事業の飛行機に限って言うと、客席数が19を超えない飛行機は1つ装備すればOKです。

客席数が19を超える飛行機については、最初に耐空証明等を取った日が2008年(平成20年)の6月30日以前か7月1日以降か、またELTが衝撃により自動で作動するかどうかでそれぞれELTの必要個数が違います。

最初に耐空証明等を取った日にちが2008年(平成20年)の6月30日以前、なおかつELTが衝撃により自動で作動する場合は1つの搭載でよく、それ以外の場合は2つ必要です。

航空法施行規則第150条第5項

航空運送事業の用に供する航空機(客室乗務員を乗り組ませて事業を行うものに限る。)には、感染症の予防に必要な用具を装備しなければならない。
(航空法施行規則から引用)

この規則により、感染予防具を装備しなければなりません。

具体的な内容は通達に書いています。

救急の用に供する医薬品及び医療用具並びに感染症の予防に必要な用具について

救急用具の点検期間

救急用具は設置して終わりではなく定められた期間ごとに点検しなければなりません。

点検の期間は物によって違いますが、航空法施行規則第151条に定められています。

第百五十一条 航空機に装備する救急用具は、次に掲げる期間ごとに点検しなければならない。ただし、航空運送事業の用に供する航空機に装備するものにあつては、当該航空運送事業者の整備規程に定める期間とする。

一 落下さん 60日
二 非常信号灯、携帯灯及び防水携帯灯 60日
三 救命胴衣、これに相当する救急用具及び救命ボート 180日
四 救急箱 60日
五 非常食糧 180日
六 航空機用救命無線機 12月
(航空法施行規則から引用)

見てみると60日(約2か月)、180日(約半年)、12ヵ月(1年)のものがあります。

覚え方は色々ありますが、航空機用救命無線機だけが12ヵ月、着水時に使う救命胴衣、これに相当する救急用具及び救命ボートと非常食糧が180日、その他は60日です。

特定救急用具についての変更点

今まで航空法施行規則第152条にて「特定救急用具」についての規定がありましたが、現在この第152条は削除されています。

旧第152条には国土交通大臣による「非常信号灯、救命胴衣、これに相当する救急用具、救命ボート、航空機用救命無線機及び落下傘(これらを特定救急用具という)の検査」の検査について規定されていました。

この制度は令和4年に廃止され、新しい制度ではこれらの救急用具は航空法第3章の装備品としての扱いとなり、他の装備品と同様に基準をクリアしなければなりません。

まとめ

まとめると航空運送事業の用に供するエアラインの飛行機に必要な救急用具は以下の通りです。

必要な救急用具(まとめ)

・非常信号灯(※)
・防水携帯灯
・救命胴衣
・救命ボート(※)
・救急箱
・非常食糧(※)
・緊急用フロート(※)

・医薬品及び医療用具
・航空機用救命無線機(ELT)

・感染症予防用具
(※)陸から740km(約400NM)以上離れて飛行する場合のみ

 


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