Jです。
今回ですけどもゴーアラウンドについてです。
パイロットがゴーアラウンドをするのはいつなのか、ゴーアラウンドについてのスタンス、ある医師から言われた言葉について書いていきます。
ゴーアラウンドとは?
まずゴーアラウンドとは何かについて簡単に説明します。
ゴーアラウンドは日本語で言うと着陸復行のことです。
着陸を取りやめてエンジンの出力を上げて再び上昇することを言います。
ゴーアラウンドの理由はさまざま
理由はさまざまありますが、大きく分けて2つのパターンに分かれます。
①ゴーアラウンドの管制指示があった、もしくは規定でゴーアラウンドしなければならないと定められている事態に該当した場合
②パイロットが自分でゴーアラウンドの判断をした場合
以上の2パターンに大別されます。
①と②の違いはパイロット自身がゴーアラウンドの判断をするかどうかの違いです。
①の場合はパイロットはゴーアラウンドをするかどうかを決めることはありません。
なぜなら管制官にゴーアラウンドを指示されたら従わない選択肢はないからです。従わなかったら航空法違反です。
また、規定でゴーアラウンドしなければならないと定められている事態に該当したら絶対にゴーアラウンドしなければならないからです。
この場合は10人パイロットがいれば10人ともゴーアラウンドするでしょう。
例えば、着陸決心高度において滑走路などが視認できなかった場合、Windshearの警報(地表面付近での気流の著しい乱れの警報)が鳴った場合等です。
無条件にゴーアラウンドなのである意味楽です。
一方で、②の場合はゴーアラウンドするかどうかをパイロット自身が判断します。
したがって、パイロットによっては判断が分かれる場合があります。
例えば、滑走路に向けての進入が不安定だった場合、めちゃくちゃ気流が悪い場合等です。
パイロットの習性!目の前に滑走路があったら頑張ってしまう
さて、
①ゴーアラウンドの管制指示があった、もしくは規定でゴーアラウンドしなければならないと定められている事態に該当した場合
②パイロットが自分でゴーアラウンドの判断をした場合
この2パターンがゴーアラウンドする場合に大別されると言いました。
①と②どちらの場合が危険性をはらんでいると思いますか?
答えは②の場合です。
なぜなら①とは違って「ゴーアラウンドしない」という選択肢が残されているからです。
それが危険なのです。
ゴーアラウンドすれば当然便は遅延します。
気流はめちゃくちゃ悪いけど滑走路は目の前に見えています。
そうなると頑張って何とか飛行機を降ろそうとするのがパイロットの習性です。
しかし、過去の歴史を見ると、「まだいける」というパイロットの誤った判断が着陸時の事故に結び付いてきたのです。
ありきたりな言葉ですが無理はよくありません。
遅延と安全性を秤にかけてはいけないのは言うまでもありません。
ゴーアラウンドは躊躇してはいけません。
「腕がいい=ゴーアラウンドしない」ということではないのです。
最悪の事態を避けることのできる唯一の選択肢を使わない手はない
ある医師にこう言われたことがあります。
「患者を手術していて不幸にも最悪の事態に見舞われた場合、僕らには打つ手がない。それに比べてパイロットの仕事では最悪の事態を避けるゴーアラウンドという方法がある。それを使わない手はないよ」
まさにその通りです。
良いこというなと思いました。
この言葉を胸に安全運航を堅持していこうと思います。