ここだけのパイロットの話

パイロットの訓練でフェイルする予兆3つ!いきなりフェイルすることはない

投稿日:19/10/2020 更新日:


Jです。

パイロットになるまでには様々な試験があり、それをひとつひとつクリアしていかなければなりません。

フェイルしてしまうんじゃないかという不安に襲われることもあります。

※フェイル:パイロットの訓練の途中でクビになってしまうこと(パイロットになれないことを意味する)

 

僕は航空大学校出身なので航空大学校経由のキャリアの場合、エアラインパイロットになるまでにパスしなければならない試験は簡単に言うと以下の通りです。

①プリソロチェック(1人で操縦できるかどうかの試験)

②帯広課程卒業試験(自家用操縦士相当の技量があるかどうかの試験)

③事業用操縦士試験(CPLという免許の試験)

④多発限定変更試験(エンジンが複数ある飛行機を操縦できる免許の試験)

⑤計器飛行証明試験(計器だけで飛行できるかどうかの試験)

⑥型式免許の取得(エアラインの飛行機の免許試験)

⑦副操縦士の昇格試験(実運航での試験)

 

①~⑤が航空大学校での試験で⑥⑦が会社に入ってからの訓練です。

このどこかの課程で少なからずうまくいかない時期は必ずあると思います。

訓練がうまくいかないとフェイルという文字が頭をよぎることになります。

しかし、そんな訓練生にとっては朗報です。

実は経験上、訓練生がいきなり訓練をフェイルすることはありません

 

訓練の体系

まず、どのように訓練が行われているのか一般的な環境を解説します。

下の図をご覧ください。

訓練体系

 

訓練生数名が1人の教官につきます。

そして、その班を管理する教官が1人います。

そして、訓練の組織の長が存在します。航空大学校であれば首席教官で、会社であれば訓練する部署の部長でしょう。

このように訓練は組織的に行われるのです。

 

ポイントは担当教官から”Ready for check”をもらえるかどうか

パイロットの訓練と試験ですが、試験官は担当教官以外の人が担当します。

教官も人間です。自分の教え子の試験は感情が入ってしまうのでやらないことになっています。

基本的に試験官はその日初めて会う人です。

そして、訓練は同じ担当教官の元で行います。

その担当教官が訓練生が試験を受ける技量に達したかどうかを判断します。

訓練回数はあらかじめ決まっています。

最後の訓練の時に担当教官が訓練生が合格レベルに達したかどうかを判断します。

訓練生が合格レベルに達していると判断されれば”Ready for check”となり、合格レベルに達していないと判断されたら”Not Ready”となってしまいます。

実はフェイルする人の大半はここで”Not Ready”となり、試験すら受けることができないのです。

試験を受けて落ちてフェイルする人はほとんどいません。

逆に言うと、”Ready for check”をもらった人はその時点でほぼ合格なのです。

 

フェイルする予兆!これさえなければ大丈夫

訓練の組織的体系、フェイルするタイミングについては以上の通りです。

訓練最終日にフェイルする人が多いと言いましたが、訓練を普通にやっていて最終日でいきなり”Not Ready”と言われることがあると思いますか?

答えはNoです。

実はいきなり”Not Ready”と言われるのではなく、予兆があるのです。

ちなみに担当教官の「このままでは合格できないよ」は危機感を持たせるための激励なので本気にする必要はありません

 

ではフェイルの予兆を紹介します。

①担当教官ではない人が自分のことを知っている(なぜか有名人になっている)

訓練生同士が情報交換をするように、教官同士でも情報交換をしています。

1回も会ったことがないのに自分のことを知っているということはそれだけその訓練生のことが教官室で話題になっているということを意味します。

優秀過ぎても話題になりますが、そういう場合は稀でほとんどが出来が悪くて話題に上がっているのです。

そうなると要注意です。

 

②コース管理や首席教官(偉い人)が頻繁に通常のフライトに同乗してくる

パイロット訓練生ひとりをフェイルさせるという判断はその人の人生を変えてしまいます

教官の身になってください。

教え子にNoを突きつけたい人はいません。

したがって、自分の判断だけでなく第3者による冷静な視線で見てもらうという意味でコース管理の教官や、首席教官に乗ってもらうことがよくあります。

立ち替わり入れ替わり偉い人が自分を見にくると黄色信号だと思っておいた方がいいと思います。

 

③どの教官と乗っても自分にだけやたらと厳しい

これは教官の焦りです。

教官の仕事は訓練生を合格レベルに持っていくことだからです。

訓練は班でやるのでその中でできる人がいればできない人もいます。

教官は全員を合格レベルにまで育てるのが仕事ですからどうしても1番できない人につきっきりになります。

どの教官と乗っても自分にだけ厳しいということは、誰の目から見ても自分の技量が他の人に比べて劣っているということです。

これに関しては努力して食らいついていくしかありません。

厳しく言われているうちはまだ見込みがあるということなので大丈夫です。

 

いきなりフェイルすることはない

以上の3つに当てはまってなければどれだけ怒られようが問題ありません。

むしろ訓練がうまくいっていると思っていいと思います。

訓練生を安心させないために教官は褒めることはあまりしません。

どうしても不安になってしまうこともありますが、最後は気合いや根性が物をいうので最後まで諦めずに頑張ることが1番大事です。

それに、訓練がうまくいかなかったとしてもフェイルするかしないかは教官が決めることです。

訓練生は訓練が続いている限り、目の前の訓練をひとつひとつ全力で頑張るしかないのです。








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