ここだけのパイロットの話

ダラダラしろ!パイロットに必要な集中力とは

投稿日:15/08/2020 更新日:


Jです。

今回ですけども、パイロットに必要な「集中力」の話です。

パイロットとして乗務するにあたってどこでどのように集中力を発揮すべきかを書きたいと思います。

 

人間の集中力は長くて15分くらいしか持続しない

まず、人間の能力の限界について押さえておきましょう。

周りが見えなくなってしまうほどの強い集中力は長くて15分くらいしか持たないという説があります。

その強い集中力を仕事している間ずっと維持するのは人間の能力的に不可能です。

しかし、パイロットの仕事で15分で終わるフライトはほぼ無いでしょう。

一体どのように集中すれば良いのでしょうか。

 

求められるのはダラダラと長い集中力

「ダラダラ」という言葉の印象はどうでしょう?

僕は誰かに怒られたときによく聞いた言葉なので良い印象はありません。

事あるごとに「ダラダラするな」と言われてきましたが、そのダラダラが必要になるとはその時は思いませんでした。

航空大学校の時に教官に言われたのは「パイロットはダラダラした緩い集中力を切らさないことが大事」ということです。

離着陸では集中してもらわなければ困ります。

しかし、あとは100%の集中力を短時間発揮させるのではなく、30%くらいの集中力を何時間ももたせることです。

ぼーっとしているように見えてやることはきっちりやるということです。

しかし、訓練は別です。

訓練は100%の集中力を発揮させることが大事だと思います。

ダラダラすることはけっして悪いことではありません。

日常生活でダラダラするなと怒られたら、緩く長い集中力を鍛錬していると言い訳けしましょう。

 

緊急事態は違うスイッチが入る

もし緊急事態に陥ってしまったら、人間には死にたくないという本能がありますので必死になります。

日頃ボケーっとしている人でも人が変わったようにキレキレになるでしょう。

その時にはアドレナリンが出ていてすごい集中力を発揮します。

緊急事態の状況下でも思考が停止せずにアドレナリンが出てテキパキと行動できることはパイロットになるのに唯一必要な資質と言えるでしょう。

 

このように仕事の特性によって集中の仕方は様々です。

パイロットという職業は、大事なところとそうではないところのONとOFFの使い分けが特に大事だと思います。


-ここだけのパイロットの話
-

執筆者:

関連記事

飛行機の旋回半径!数式で理解する航空力学

Jです。   今回ですけども、飛行機の力学についてです。 飛行機は急には曲がれません。 曲がると決めて旋回を始めて90°変針した時にどれくらいの旋回半径となるのでしょうか。 また、飛行機の旋 …

国際線で十何時間も何してるんですか?

Jです。 今回もよくある質問に答えていきたいと思います。 国際線のフライトは時間が長いです。 そのフライト時間中上空で何しているかはよく聞かれます。   長距離国際線の上空でやること さて、 …

航空無線アルファベット数字基礎の基礎

航空無線入門基礎の基礎、アルファベットや数字の読み方

Jです。   今回ですけども、航空管制で使うアルファベットの読み方についてです。 パイロットと管制官は無線で常にやり取りをしています。 主に使う無線の種類はVHF無線電話です。洋上であればH …

転職

パイロットの転職について

Jです。 パイロットになって早くももう数年経ちました。コロナなどで経験を積めなくなった期間もありますが、年数だけは過ぎていきます。 先行きが不透明な時代です。 今回ですが、パイロットの転職について思う …

航空大学校受験を考える人は大学・学部をどこにすればよいか?

Jです。 航空大学校を受験するためにはまずは大学に行かなければなりません。 大学はどこの大学、学部を選ぶべきなのでしょうか? 航空大学校で学ぶこと 座学課程 航空大学校の座学課程ではパイロットとして飛 …