Jです。
今回ですけども、意外に知られていないパイロットについての質問に答えていこうと思います。
旅客機を飛ばす際に、常に操縦室には2名のパイロットがいることは有名な話です。
では、その2名が一体何をしているのか?
機長が2人乗っている場合はどうなるのか?
離着陸は常に機長がやるのか?
などについて解説していこうと思います。
目次
旅客機は2人で飛ばすことを前提に作られている
まず大前提からですが、旅客機は2人で操縦することを前提に設計されています。(2 men concept)
1人が急病で倒れた時にもう1人がカバーできるように2人乗っているという側面もありますが、そもそも通常時でも2人でなければいけません。
ちなみに、セスナなどの小型機はもともと1人乗り前提で設計されています。
その点が旅客機と大きく違います。
飛行機の説明書にその飛行機が1人でいいのか2人で操縦しなければならないかが書いています。
機長と副操縦士のペアが基本
2人で飛ばすと言いましたが、基本的には機長と副操縦士がペアで乗務します。
機長がいなければ飛行機は飛びません。
機長は航空法に定められている責任を負い、法的な権限を持つことになります。
機長を社長とするならば、副操縦士はナンバー2の副社長です。
機長は指揮権を持っていますが、万が一機長が上空で急病で倒れた際は副操縦士が機長の指揮権を引き継ぎます。
ここまでは、イメージ通りかと思います。
では、機長と機長のペアで飛行機を飛ばす時がありますがどうなるのでしょうか?
Pilot In Command(PIC)とは
機長Aと機長Bが乗る時にはどうなるのでしょうか?
この時にはどちらか一方の機長だけに権限を与えなければなりません。
乗務割が出る際にそれは会社によって決められます。(ジャンケンでは決めません)
その権限を有する方の機長をPIC(Pilot In Command)と言います。
機長AがPICを任されたとき、もう一方の機長Bは副操縦士の業務をします。
そのように仕事を決めることで機長同士が乗る時にもキッチリ責任と権限が明確になっているのです。
機長A(PIC)と機長Bの便で何か不具合が起こった際には、機長A(PIC)の方が全ての責任を負って判断します。
PICは便ごとに決められます。
行きは機長AがPICで、帰りは機長BがPICの場合が多いです。
副操縦士はPICはできませんので、機長と副操縦士のペアの時は常に「機長=PIC」となります。
離陸・着陸は誰がやるの?
離陸と着陸はPICがやるのかと思いきや、そうではありません。
実は離陸・着陸は誰がやってもいいのです。
例えば機長と副操縦士のペアの時でも機長の責任の下、副操縦士が離着陸してもいいのです。
国内線であれば、1日何便も飛びます。
機長は全ての便を副操縦士にやらせることもできます。
また、全部自分でやることもできます。
半分半分にすることもできます。
機長の裁量次第です。
しかし、いずれの場合も責任は全て機長にあります。
PF(ピーエフ)とPM(ピーエム)
操縦(離着陸含む)をする方のパイロットをPFと言います。
PFとはPilot Flyingの略で、主にその便において操縦業務をするパイロットのことです。
離着陸をやらないパイロットの方をPMと言います。
PMとはPilot Monitoringの略で、操縦業務以外の役割をします。
具体的には、PF業務は地上走行、離陸・着陸、ナビゲーション、GearやFlapの操作の指示です。
PM業務とは、管制官とのコミュニケーション、天気などの情報の取得、PFのモニター、PFの指示によるGear、Flapの実際の操作等です。
車で言うと、運転席に座っている人がPFです。
目的地までどこを通っていくのか、高速に乗るのか乗らないのか、速度、アクセルとブレーキ、ハンドル操作などをしますよね。
車の助手席に座っている人がPMです。
ここの道路は渋滞しているという情報を取ってドライバーに言ったり、遅れそうなら目的地に電話したり、道を間違えそうならアドバイスしたりしますよね。
このPF/PMは便ごとに機長が決めます。
勝手に決めていいです。
機長(PF)・副操縦士(PM)もしくは機長(PM)・副操縦士(PF)どちらもあり得ます。
何度も言うようにPFが離着陸をします。
緊急時はPICがPF
何か緊急事態が起こった時には特別な事情が無い限り機長(PIC)がPFをします。
緊急時に副操縦士に経験を積ませている場合じゃないからです。
副操縦士に操縦をさせていても何か起こったら機長が横から操縦桿をぶんどります。(I have!!!)
そこはご安心ください。
大雑把に書きましたが、副操縦士に操縦をさせていい条件が細かく決められているので安全対策は万全です。
そこもご安心ください。