Jです。
今回ですけども、僕が航空大学校で聞いた伝説を紹介します。
航空大学校宮崎フライト課程では事業用操縦士(CPL)の免許取得を目指して教官と共に訓練します。
訓練機はエンジンが1つの小型機です。
計器は昔の計器で、速度計や高度計はそれぞれメモリと針がついた下の写真のようなアナログタイプの計器でした。
上の写真は速度計ですが、例えば120ktを出しているときには針が120のところを指すのです。
操縦がうまいとはどういうことか
車の運転を思えば分かりやすいのですが、100km/hちょうどをずっとキープするのは至難の業だと思います。
100km/hを維持しようとしても98km/hになったり101km/hになったりしますよね。
坂道や、カーブがあればさらに難しくなると思います。
飛行機の操縦も車と同じで、120ktを維持しようとしても風が変わって117ktになったり、122ktになってしまったりします。
ズレたらその都度修正して何とか120kt付近を維持します。
操縦がうまい人というのはズレの発見が早く、119ktや121ktになったらすぐに120ktに直すのでズレていないように見えるのです。
高度・針路についても全く同じで、いかにズレを早く発見して元に戻す操作をするかが重要です。
つまり、ズレるのが当たり前で、そのズレをいかに小さく、修正をいかに早く行うかが操縦の腕なのです。
パイロットは速度・高度・針路の3つのズレを素早く見つけて同時に修正することが求められます。
このズレを発見する目の動きのことをクロスチェックと言います。
一般的にはクロスチェックが速いとズレを発見するのが早いため修正も早く行えます。
訓練生の頃はよく「クロスチェックが遅い!!」と怒られたものです。
ところが大天才は次元が違った
僕はその大天才の教官を知りません。
聞いた話ですよ。
同僚だった教官から聞きました。
「あいつの操縦はマジで天才だった」
どれくらい天才だったのか僕は詳しく聞きました。
すると耳を疑うような証言がたくさん出てきました。
その証言がこちらです。
「計器の針が接着剤で張り付いてるんじゃないかと思うくらい針が動かない」
ん?またまたー。話盛ってます?
「計器が全く動かないので計器が壊れたと思った」
え?
「あまりに動かないからちょっと計器を叩いてみた」
どゆこと?
つまり、ズレをいかに早く修正するのが操縦なのに、その教官はそもそもズレないのです。
そもそもズレないから修正操作もいりません。
「俺鉄砲の弾当たらないから防弾チョッキいらねーわ」と同じですね。
修正操作をしないので何もしていないように見えます。
いるんですね、そういう人が・・・。
オートパイロットでも少しはズレますからね。
1度生で見てみたかった・・・。