ここだけのパイロットの話

その行為、飛行機から降ろされる!?機内での迷惑行為!航空法と絡めて解説!

投稿日:09/09/2020 更新日:


Jです。

 

今回ですけども、飛行機の機内での迷惑行為について解説します。

珍しくパイロットっぽい専門的な記事になりました。

航空法でどのように規定されているのか。機長の法的権限について書いていきます。

迷惑行為をしてはいけないことは航空法に明記されている

航空法には以下のように定められています。

第73条の3

航空機内にある者は、当該航空機の安全を害し、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産に危害を及ぼし、当該航空機内の秩序を乱し、又は当該航空機内の規律に違反する行為(以下「安全阻害行為等」という。)をしてはならない。

(航空法から引用)

この条文の言いたいことは、「航空機に乗っている人は他人・他人の所有物に危害を及ぼしたり、迷惑をかけないようにしましょう」という趣旨です。

これに違反する行為を航空法の用語で「安全阻害行為等」といいます。

具体的に「安全阻害行為等」とは?

「安全阻害行為等」とありますが、具体的にどのようなことでしょうか?

暴力をふるったり、物を壊したりするような行為は明らかに犯罪なので当然安全阻害行為に当たります。

しかし、例えば喫煙はどうでしょう?

喫煙そのものは犯罪ではありません。しかし、迷惑(時には危険)な場合もありますよね。

そのように判断に困る場合があるので、それを取り締まるために航空法施行規則には安全阻害行為の具体的な内容が8つ明記されています。

 

航空法施行規則に明記されている8つの安全阻害行為は以下の8つです。

第164条の16法第73条の4第5項の国土交通省令で定める安全阻害行為等は、次に掲げるものとする。
1 乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為
2 便所において喫煙する行為
3 航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であつて、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの
4 航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれがある携帯電話その他の電子機器であつて国土交通大臣が告示で定めるものを正当な理由なく作動させる行為
5 離着陸時その他機長が安全バンドの装着を指示した場合において、安全バンドを正当な理由なく装着しない行為
6 離着陸時において、座席の背当、テーブル、又はフットレストを正当な理由なく所定の位置に戻さない行為
7 手荷物を通路その他非常時における脱出の妨げとなるおそれがある場所に正当な理由なく置く行為
8 非常用の装置又は器具であつて国土交通大臣が告示で定めるものを正当な理由なく操作し、若しくは移動させ、又はその機能を損なう行為
(航空法施行規則から引用)

 

この8つの安全阻害行為については明確に記載されていることから、この行為をやっている旅客に対して機長はその行為をやめるように命令をすることができます

その命令をできるということも航空法の別の条文に明記されています。

 

昔僕が客として飛行機に乗っていて見たことあるのは上記8つのうち3,4,6,7です。

いずれもCAから注意を受けてすぐに当該行為をやめていたので機長が命令するまでもなかったようでした。

飛行機に乗り慣れない人は知らずにちょっとやってしまうこともありますしね。

 

これらの8つには罰則があります。

航空法によると、起訴されて有罪になれば50万円以下の罰金刑となっています。

安全阻害行為等をする者に対しての機長の権限

命令をする権限はありますが、命令をしても安全阻害行為等を繰り返す人がいたらどうすればいいでしょうか。

その場合に機長が取れる措置も航空法に明記されています。

 

以下の条文を見てください。

第七十三条の四

機長は、航空機内にある者が、離陸のため当該航空機のすべての乗降口が閉ざされた時から着陸の後降機のためこれらの乗降口のうちいずれかが開かれる時までに、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置(第五項の規定による命令を除く。)をとり、又はその者を降機させることができる

(航空法より引用)

 

機長は必要な範囲でその者を「拘束」「降機させる」権限を与えられています。

警察でもないいち個人に与えられる権限としてはなかなか大きい権限だと思います。

権限が大きいため、その権限が行使できるのは飛行機のドアが全て閉ざされているとき(飛行機が密室時)のみに制限されています。

降機させた後は警察等の関係機関に引き渡すこととなります。

 

日本は法治国家なので全て法律に則って行われています。

たかが飛行機の運航でも背後には無数の法律が絡んでいます。

客室乗務員が注意することは何かしら法律的根拠があってのことなので素直に指示に従うのが無難でしょう。


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