Jです。
パイロットはフライトの前に気象情報は必ずチェックします。
しかし、具体的に何を見ればよいかは細かく決められておらず、人によって違います。
今回は、様々な方法を紹介します。
目次
必須のMETARとTAF
これは全てのパイロットがチェックします。
空港周辺の天気です。
METAR(メター)というのは空港周辺の現況の天気で、TAF(タフ)は予報です。
出発地、目的地、代替飛行場の現況の天気と予報は必ず見ます。
METARとTAFは航空従事者向けの暗号のような専門的な形式で書かれており、風向風速・視程・雲底などが書かれています。
各種天気図
気象庁が出している天気図は様々な種類があります。
全てを見ることは無いですが、何を見るかはここが1番個人の違いが出るところです。
第1位:FBJP(国内悪天予想図)
(気象庁HPから引用)
何かひとつしかチャート見れないとしたら何見る?と言われたらこのFBJPを見る人が多いのではないでしょうか。見ない人の方が少数派だと思います。
日本全体で、揺れそうな場所と高度、ジェット気流の位置・風速、低気圧の位置、積乱雲が発達しそうな場所、火山噴火、山岳波などの情報が全てこの1枚のチャートに詰まっています。
飛行機を飛ばす上で危険な天気現象を把握することができます。
パイロットが天気をチェックする目的のひとつは「揺れ・悪天を回避すること」なので、このチャートはまとまっていて便利です。
第2位:FXJP(国内航空路6・12時間予報断面図)
(気象庁HPから引用)
航空従事者向けのチャートです。このチャートも見る人が多いです。
Fから始まるチャートなので数値予報の予報図です。(未来の予想)
このチャートのメリットは縦の大気の状態をチェックできるところです。
札幌から石垣島までの日本列島の断面図を見ることができます。
これを見ることで、高度による風向風速の差(Vertical Windshear)、雲頂高度、トロポポーズなどが視覚的に分かります。
巡航高度を決めるうえで参考になります。
第3位:ASAS(アジア太平洋地上天気図)
(気象庁HPから引用)
航大時代は1番見ていました。日本全体の気圧配置や前線の有無、低気圧・高気圧の移動速度などを把握できます。
Aから始まる名前のチャートなので実際の観測値を使用した図です。(過去のもの)
1日4回、00:00UTC、06:00UTC、12:00UTC、18:00UTCの図が発表されます。
これを見るだけでは揺れや雲の状況を把握したりすることはできません。
エアラインで仕事をする上では、テレビの天気予報の情報は把握していることが前提なので出発前の確認でわざわざこれを詳しく見る人はあまりいないので第3位です。
雨雲の動き
空港周辺で降水があるとき、又は予報されているときに実際に何時頃にどれくらいの雨域がかかってくるかを見ます。
発達した積乱雲が近くにあったり、あまりにも雨が強いと視界が悪く離着陸できない時があるからです。
その場合は天気が落ち着くまで上空で待機できる燃料を追加搭載しなければなりません。
その他:エアライン各社で作っているチャートやPIREP
これまで紹介してきた各情報のほかにエアライン会社が作っているチャートや、PIREP(Pilot Report)を参考にしています。
各エアラインでフォーマットが違うので会社の色が出ると思います。
PIREPという実際に飛んだパイロットからのレポートを見ることができます。
チャートでは揺れるデータなのに実際は揺れていなかったり、揺れる要素が無いところで揺れている場合にPIREPは役に立ちます。
自分が飛んだ時も役に立つ情報があれば積極的に会社に無線などでレポートします。
ただ、前線通過時のように刻一刻と変わる天気の時はレポートは役に立たないですし、飛行機の機種(大きさ)によって揺れの体感は変わるので注意しています。
まとめ
パイロットの気象解析の目的は大きく分けて3つです。
①出発地、目的地、代替飛行場の天気が離発着できる天気かどうか
②上昇・巡行・降下中の揺れ・悪天の回避
③燃料の追加搭載の検討
これらを目的としてやっています。
パイロットによって経験も違えば、着目するところも違います。
何をどのようにチェックするかはその時の天気によって違ってきます。
自分なりに今日は何が大事かを考え、情報収集することが大事だと思います。