ここだけのパイロットの話

羽田空港(RJTT/HND)のILS Z RWY23 Approach

投稿日:


Jです。

羽田は大空港でありながらクセのあるアプローチが多数あり、特にILS Z RWY23はILSでも特に癖が強いアプローチです。

間違っていることを言っていたら恥ずかしいのでTwitter DMで教えてください。

アカウント名:J@パイロット
(ユーザー名:@93762741)

ILS Z RWY23 Approach

まず公示されたApproach Chartを見てみましょう。

ポイントは何でしょうか?

AIPのチャート

(AIPから引用)

Final Courseが2度Offsetしている

offsetしているのがこのアプローチの特徴です。

LOCをFollowしてきて、最後滑走路に正対しなければいけません。

下のように2度Offsetしています。

南風運用なので大抵は左から風を受けながら進入しているので最後は風上にHDGを少し向けないといけないのが難しいです。

DAは383ftですが、LOCをFollowしていった飛行機が滑走路の延長線上に来るのはどこのポイントなのでしょうか。

羽田ILS Z RWY23

(AIPから引用)

上の図にもある通り、GPのアンテナがThresholdから内側に336mで、LOCのビームがRWY23の延長線上と交わるのは1,228mの地点です。

その時の高度は計算すると269ftになります。

DAが383ftなので、DAの時点ではまだ滑走路の延長線よりも飛行機が左にいるということになります。

300ftくらいから2度Trackを左に振る操作を始めたら良いと頭に入れておくとうまくいくかもしれません。

RVR800mでDA383ftで何が見える??

RWY23のアプローチライトは870mです。

LOCのビームと滑走路の延長線上の交点が滑走路末端から1,228mでその時の高度は269ftです。

そこから計算するとDA383ftの時、滑走路末端から1,228mの地点からさらに663mの地点、つまり滑走路末端から1,891mの地点です。

RVR800mと言うことは滑走路末端から滑走路末端から1091mの地点までしか見えないということになります。

アプローチライトは870mなのでアプローチライトは見えないということになります。

つまり、視程RVR800mでDA383ftでは何も見えない!!!

そんなことある???

RVR800mはJust Landing aboveですが、実際には降りられないということです。

DAの地点からアプローチライトの先端が見えるためにはRVR1,100m程度は必要ということになります。


-ここだけのパイロットの話

執筆者:

関連記事

お酒

日本のパイロットのアルコールチェックの現状

Jです。 職業はアルコールチェッキーです。 フライトよりも多いアルコールチェックの現状を共有します。 たくさんの人に知っていただきたいです。 実施要領は通達に書いてある 航空機乗組員等のアルコール検査 …

飛行機の画像

パイロットに向いている人ってどんな人ですか?

Jです。 今回ですけども、よく聞かれる質問に答えます。 「私ってパイロットに向いてますか?」 知らんがな。と言いたいところですが、それは置いといてざっくり答えます。   学生からよく聞かれる …

航空大学校の卒業時期と就職・入社時期の関係

Jです。 今回ですけども、航空大学校から航空会社への就職時期についてです。 一般的な就職は4月ですが、航空大学校の場合はかなり独特になっています。 航空大学校の入学式は年4回ある 当然ですが航空大学校 …

【名言シリーズ~その1~】航大初めての担当教官からの言葉

Jです。   今回ですけども、僕が航空大学校時代に初めて担当していただいた教官から言われた言葉の中で、今も仕事に生きているものを紹介したいと思います。   僕の中での名言は結構ある …

パイロットの訓練がうまくいく人5つの特徴

Jです。 今回ですけども、パイロットの訓練についてです。 自社養成であろうが、ライセンサーであろうが会社に就職しただけでパイロットとして飛べるわけではありません。 会社で訓練をして審査に受かった人だけ …