ここだけのパイロットの話

飛行機は燃料満タンにしない

投稿日:09/07/2020 更新日:

今回は飛行機ネタです。

飛行機の燃料についてです。

車にガソリンを入れる際に「満タン」にする人が多いと思います。

しかし、飛行機は満タンにしません。

便ごとに必要な燃料量を機長が決定しています。

燃料を多く積まない理由=燃費悪化

大前提として燃料はあればあるほど安心です。

何か起こったときに飛行中の燃料が多いと選択肢が広がります。しかし、実際では満タンにせず、必要な燃料しか積みません。

その理由は飛行機を無駄に重くしないためです。機体が重いと燃費が悪化してコストが増えてしまうからです。

無駄な燃料を積むということは「燃料を使って燃料を運ぶ」ということです。

会社は利益を出さないといけないので無駄な燃料は減らしたいのです。

搭載燃料を決める際に機長が考慮すること

燃料をどれくらい積むかの決定権は最終的には機長にあります。

運航管理者と協議して決めますが、最終的には安全の最終責任を負う機長が決定します。

機長が燃料搭載量を決めるために考える主要な要素は以下の通りです。

①各空港、航路上の気象状況
②飛行予定空域の混雑具合
③その他

①各空港、航路上の気象状況

燃料を決定する場合で1番考慮すべきことは天気事由です。

目的地の天候が悪い時には着陸が1回でできるとは限りません。進入限界点(DA)まで行って滑走路などが見えなければ着陸を諦めゴーアラウンドしなければなりません。

2回、3回と進入をやり直しをすることができるように燃料を多めに搭載することが多いです。

また、天気が良くても航路上の天候が悪い場合、そこを迂回(遠回り)するための燃料を搭載することも多いです。

②飛行予定空域の混雑具合

天候が良くても空域が混雑しているときには着陸のための順番待ちのため管制官の指示で遠回りさせられたり、上空待機(Holding)をさせられることがあります。

それがあらかじめ予想される場合には燃料を多めに搭載します。

③その他

上記の場合以外にもいろいろな場合があります。

例えば、便が遅延している場合に上空で通常よりも速度を出すために燃料を少し多く積んだり、どの高度も揺れている場合に高度の変更を柔軟にするためにあらかじめ燃料を多めに積む場合もあります。

安全は担保されている

それ以外にも機長が必要と判断したら燃料を追加搭載することはできます。

逆に燃料を積まずにいくということもできますが、どこまでも燃料を節減できるわけではなく航空法で「最小必要搭載燃料量」が決まっています。

したがって、安全性は担保されています。燃料をケチって安全性が脅かされることはありません。

しかし、燃料を節減しすぎると選択肢を狭め、判断までの時間が十分に取れないことになります。

燃料搭載量を決めるということは、その飛行機が空に浮いていられる時間を決めるということです。

 

一般的な飛行機は空中で燃料補給はできないので、一度離陸してしまうと何が起こったとしても搭載している燃料の範囲内でオペレーションをするしかないのです。

-ここだけのパイロットの話
-

執筆者:

関連記事

航空大学校の2次試験(身体検査)に健康でも落ちる理由

今回ですけども、航空大学校2次試験の仕組みについて解説したいと思います。 もし航空身体検査を前もって自前で受けて問題なければ、本番の航空大学校2次試験の身体検査は大丈夫かという質問をよく受けます。 実 …

計器飛行証明!雲に入るにも免許がいる

Jです。 今回ですけども、計器飛行証明というライセンスについてです。 エアラインパイロットとして飛ぶための必須のライセンスです。   航空大学校では最後の仙台課程で取得することができます。 …

パイロットって英語どのくらいできればなれますか?

パイロットの英語力についての記事です。 パイロットは普通の能力を持った人たちの集団なので当然英語はみんながみんなできないわけですが、それでもパイロットにはなることができます。 どの道に行くかで必要な英 …

言ったら終わり??訓練中の禁句トップ3

パイロットになるまでには様々な訓練があります。 その途中でいろいろうまくいかないことも出てきて苦労すると思います。 教官も一人前のパイロットに育てようと必死なわけですから時には厳しい言葉をかけることも …

Low ALT Level off!不自由すぎる那覇空港の実態

Jです。 今回ですけども、今日は個別の空港のトピックです。 その空港とは那覇空港です。 那覇空港は国内で交通量が大きい空港の1つです。 その交通量をさばくために2020年の3月から滑走路がもう1本増え …