Jです。
今回ですけども、少し専門的な内容です。Speed Brake Systemについてです。
下の写真をご覧ください。
これは飛行機が着陸した直後の飛行機の翼の上の写真です。
飛行機が着陸するとこのように翼の上の数枚のSpoiler(スポイラー)という部分が翼の面に対して垂直に開きます。
ここでみなさんに問題です。
「止まるため」という答えは不可とします(笑)
止まるために開くのは正しいのですが、ここではSpoilerが立つと何がどうなるのか考えてください。
よくある解答が「進行方向に対し、Spoilerを垂直に立てることで空気抵抗を増やして減速する」というものです。
そう思った人は残念ながら間違いです。
飛行機が上空にいる時なら速度が大きいので空気抵抗によって減速することができますが、着陸後の低速度では空気抵抗の影響は小さく空気抵抗による減速の効果はありません。
では、なぜ開くのでしょうか?
それは、翼に発生する揚力を減らすためです。
飛行機の翼の上に空気が流れることによって揚力が発生します。Spoilerが立つことで翼の上部の空気の流れが妨げられて揚力は激減します。
では揚力が無くなるとどのようなことが起こるでしょうか?
下の図で簡単に説明します。
飛行機に働く力は鉛直方向では揚力L、垂直抗力N、そして重力mgです。飛行機が止まるための摩擦力Fは後ろ向きに働きます。
この摩擦力Fは垂直抗力Nに比例します。F=μN=μ(mg-L)となり揚力Lが減れば減るほど摩擦力Fは大きくなることが分かります。
最終的に揚力が無くなることで飛行機の全重量が車輪にかかる(N=mg)ことになります。
つまり、地面との摩擦力が増えて飛行機が停止しやすくなるのです。
「Spoilerが立つとどういう効果があるのか?」という問いの答えは
「揚力を減らしてブレーキの利きを良くするため」でした。
これからも飛行機の豆知識的なものがあれば紹介していきます。