Jです。
今回ですけども、パイロットの仕事の一面を紹介します。
それは規程のお話です。
ピンとこないかもしれませんがパイロットの仕事は規程に則って行われます。
飛行前準備から飛行後の業務まですべて規程に定められています。
夢を壊すようで申し訳ありませんが、実は書いてあることを確実に実行していく地味な仕事なのです。
大原則!飛行機は規程で飛んでいる
規程というのはマニュアルのことです。
航空会社の仕事にはどの業種もマニュアルがあり、基本的にはマニュアルに従って仕事をしています。
飛行機の整備の方法や、手荷物・貨物の搭載等、全てはマニュアルに基づいて行われます。
特に重要な整備、飛行機の運航に直接関わるマニュアルは国(国土交通大臣)に認められたものであるため法的効力を持ちます。
守る義務があるのです。
パイロットの役割は?
すべてマニュアルで規定されているのなら、パイロットの仕事はマニュアルに従っていればさえいればいいのかというとそうではありません。
法律が万能でないようにマニュアルも万能ではありません。
マニュアルに書かれていない細かい事項、矛盾する2つのマニュアルのどちらを採用するか、マニュアルの抜けなど、いわゆるグレーゾーンが存在します。
また法律と同じで、マニュアルの解釈が人によって異なる場合もあります。
僕はそのグレーゾーンのためにパイロットは存在していると思います。
特に緊急事態は規程では対応しきれない
ありとあらゆる緊急事態を想定して対応策を全てマニュアルに記しておくことは不可能です。
逆に、マニュアル通りの不具合しか起こらないのであれば事故など起こりません。
マニュアルには基本的な想定しうる事態の対処、あくまで典型的なケースしか書いていません。
したがって、緊急事態が起こった時はパイロットが臨機応変に最善の処置をしなければなりません。
時にはマニュアルを無視しなければならないときもあるかと思います。
機長は緊急事態においてはマニュアル、その他関連法規から逸脱することが許されています。
全ての規程を機長権限で無視できるというのはとてつもない権限で、同時に大きな責任があります。
緊急事態であれば結果良ければ全て良しというわけなのです。
マニュアル人間は使えない
語弊を恐れずに言うならパイロットの仕事は規程を守ることではありません。
乗員乗客を守ることだと思います。
これは間違いありません。
規程を守った結果、事故りましたではお話になりません。
たまに、細かい法律(規程)の解釈を気にしている人がいますが、パイロットは法律家ではありません。
僕は規程の細かい事ばかりを気にして飛行している人はパイロットではないと思っています。
全ての規程は安全を守るためにあります。
その本質、規程の存在意義を押さえず、ただ紙に書いてある細かい文言だけをひたすら追っている人はパイロットではありません。
そういう人にはもっと適職があると思います。
最後に念のため言っておきますが、規程を軽視しているわけではありません。
規程は安全の基盤です。
盲目的に規程を守るだけのパイロットは使えないという話です。
どの仕事もそうですが、規程という基本を押さえて、そのうえで応用ができる人が「仕事ができる人」だと思います。