Jです。
今回ですけども、飛行機の燃料についてです。燃料についての質問が多いので答えます。
車を運転する方は、燃料を入れる時にどのようにしますか?
おそらくほとんどの人が「満タン」にすると思います。僕は「レギュラー満タンで」以外を言ったことがありません。
しかし、飛行機は絶対に満タンにしません。そのフライトに必要な燃料分だけ搭載してフライトを始めます。
どのようにして燃料を搭載しているかを書いてみました。
目次
燃料を多く積まない理由=燃費悪化
大前提として、燃料を搭載すれば搭載するほど安全度は高まります。なぜなら飛行中の残燃料が多ければ多いほど、緊急事態が起こった時に選択肢が広がるからです。
しかし、実際は安全を担保できる必要最小限の燃料しか搭載しません。その理由は、無駄な燃料を積んで機体が重くなってしまうと燃費が悪くなりコストが増えてしまうからです。つまり燃料を運ぶにも燃料が必要になるということです。
航空会社は儲けを出さなければならないので、余分な燃料はできる限り積まないようにしたいはずです。
搭載燃料を決める際に機長が考慮すること
燃料をどれくらい積むかの最終決定権は機長にあります。会社がいくら燃料を減らすようなプランを出したとしても機長の権限の方が強いです。
機長が燃料搭載量を決めるために考える要素を上げてみます。
①各空港、航路上の気象状況
②飛行予定空域の混雑具合
③Tankering(タンカリング)
<①各空港、航路上の気象状況>
燃料追加搭載で1番多いのがこの理由です。
目的地の天候が悪い場合、着陸が1回でできるとは限りません。進入限界点まで行って滑走路等が見えなければゴーアラウンド(着陸のやり直し)をしなくてはなりません。2回、3回とやり直しすることができるように燃料を追加することが多いです。
また空港の天気は良くても航路上の天候が悪い場合、天候が悪い部分を迂回するため通常よりも遠回りになってしまうことがあります。その場合もその分の燃料を搭載します。
<②飛行予定空域の混雑具合>
空域が混雑していると、着陸の順番待ちのためルートの遠回りをさせられたり、ホールディング(同じ場所でぐるぐる旋回)をさせられるためその分の燃料を積んでおかなければ燃料が足りなくなってしまいます。
そのため、空域がかなり混雑している情報がある時は、機長はその分の燃料を追加することができます。
<③Tankering(タンカリング)>
タンカリングと言うのは、帰りの燃料も行きの空港で積んで行くことです。
例えば、東京-福岡の往復をする場合で東京の燃料と福岡での燃料は値段が違います。福岡の燃料の値段が高い場合、東京で帰りの燃料も積んでおけばわざわざ高い福岡で燃料を積む必要がありません。
帰りの燃料を積んで重量が重くなることによる燃費悪化を差し引いてもコストが安く済む場合に行います。
これは機長が決めるわけではなく、会社がやるかどうかを決めます。
安全には変えられない
この他にも機長が必要と判断した場合は燃料を搭載することができます。会社がどれだけコストを削減と言っても安全には変えられないので機長には燃料搭載量を決める最終権限があるのです。目先の燃料代をケチって安全が脅かされることはあってはなりません。
燃料の搭載量を決めた瞬間、その飛行機が空に浮いていられる時間が決まるわけです。その意味は大きいと思います。
どんなことが起こったとしてもパイロットはその搭載した燃料の範囲でオペレーションをしなければならないのです。
東日本大震災の時、羽田・成田空港はクローズしましたが、1機もガス欠を起こすことなくどこかに着陸しています。
その詳しい話はまた今度にします。
では。