「パイロットになるにはどうすればいいか?」という質問をよくされます。
今回は、この漠然とした質問に答えていこうと思います。
パイロットになりたい学生は必見です。
目次
実は世間が思っているほどハードルは高くない、ただし…
さて、パイロットについてイメージですが皆さんどう思いますか?
英語ペラペラ、高学歴、いろいろイメージはあると思います。
しかし、実はそんなにハードルは高くありません。
昔のように裸眼で視力が良くなければいけない時代は終わっており、視力は矯正して見えればいいです。
職人の世界なので学歴は誰も気にしていませんし興味もありません。
英語はできるに越したことはないですが、ペラペラしゃべれなくても全く問題なしです。TOEIC300点台の人を知っています。
普通の人であればいいのです。
しかし、とにかくパイロット(エアラインの副操縦士)になるまでの道のりが長いです。なるまでに5年は最低でもかかります。それにその途中で数々の試験があるため好きでないとやっていけないと思います。
では、具体的にどうすればなれるのか見ていきましょう。
大きく分けて4つの道がある
②航空大学校
③私大のパイロット養成コース
④自分で免許取得
大きく分けてこの4通りです。
メリット・デメリットを挙げながらひとつずつ見ていきます。
①就活で航空会社の自社養成パイロット候補生として就職
【デメリット】倍率が高い
この自社養成パイロットとして会社に入るのは4つの道の中では最も倍率が高い道です。なぜなら4つの選択肢の中で唯一お金をもらってパイロットになるための訓練ができるからです。
倍率は100倍とも言われます。100倍ともなると努力したとしても受かるには運の要素が強くなってきます。
パイロット訓練生として就職をするわけなのでパイロットになるための勉強が仕事であり、それに対して給料が発生します。
いわゆる新卒なので飛行機に関して全くの素人です。素人をプロのパイロットに訓練していくわけなのでかなりの時間がかかります。
国内のパイロットの約6割弱はこの自社養成パイロットと言われています。
②航空大学校を卒業後航空会社に就職
【デメリット】卒業できないと何の意味もなくなる
航空大学校は国が運営する唯一のパイロット養成機関です。訓練費用は税金で賄われています。
期間は約2年間で訓練生の負担は400万円ほどです。また、全寮制なので入学したら2年間集団生活を送らなければなりません。
航空大学校でJET機以外の最低限必要なライセンスを取ることができます。
この道での大きなメリットは航空大学校を卒業できさえすればほぼ100%航空会社にパイロットとして就職できるということです。
そして、航空大学校の入試ですが自社養成よりも倍率は低く倍率は約9倍です。
ただし、受験資格に年齢制限があります。受験資格として、大学2年修了(見込み可)していれば卒業していなくても構いません。
最新の情報は航空大学校のホームページをご覧ください。
航空大学校でパイロットに必要な「事業用操縦士」「多発免許」「計器飛行証明」のライセンスを取ってからライセンサーとして航空会社に就職します。
航空会社の就職試験も航空大学校枠で行われます。
全パイロットの約4割弱くらいはこの航空大学校出身者です。
卒業できる確率は統計では9割以上ですので普通にやっていればクビになることはありません。
③私立大学でライセンス取得後に航空会社に就職
【デメリット】とにかく学費が高すぎる、就活が同期との戦い
航空大学校は国立でしたが、それの私立版です。
東海大学、法政大学、桜美林大学等、操縦科を設立する大学は増加傾向にあります。しかし、パイロットの勉強が忙しいため、他の学部のようないわゆる大学生のような生活はできないそうです。
取れる免許は航空大学校と同じです。航空大学校は2年で全課程をするのに対し、こちらは4年間です。ただ一般教養もあるので実質4年もありません。
私立なので税金が入っている航空大学校と違い、学費がかなり高額となっており2000万円ほどかかると言われています。
ローンを組めますが、もしパイロットになれなかったときに大変なことになるためプレッシャーはかなりあります。ちなみに9割は無事ライセンスを取れます。
また、就活の時期はとてもピリピリするという情報もあります。
大きいメリットは、4つの道の中では最短でパイロットになれることです。早くなれるということは生涯年収の面ではかなりメリットがあり、一時的に学費がかかっても無事にパイロットになってしまえば十分元が取れます。また、若いほうが訓練効果が大きいと言われています。
④自費でライセンスを取得し航空会社に就職
【デメリット】お金がかかる、労力もかかる、自分一人でやっていかないといけない
私立大学も自費ですが、ここでの「自費」は大学に属さず、アメリカなどの海外や国内でフライトスクールにお金を払って訓練することを言います。
この道は一度社会人として働きながらの人が多いです。
社会人として働きながら空いた時間で勉強して飛行時間を稼いで自分で試験を受けるといった感じです。
全て自分で進めていくのでカリキュラムもありませんし、義務もノルマもありません。趣味で自家用操縦士の資格を取る人も多いです。
受験条件を満たせば審査も自分で申し込んで、その国家試験に合格できればライセンスを取ることができます。
就職は必要なライセンス取得後に自分で応募することになりますが、どの航空会社も採用人数は若干名であり、エアライン経験者が有利になるためなかなか就職が厳しい傾向にあります。
結論
大きく分けて4つの道があります。年齢、学力、家庭の事情によってそのどれを選ぶか(複数選択可)はその人次第です。
以下、時系列的に方法をまとめてみました。
まず金銭的余裕がある家庭だと初めから飛行機の操縦科のある私立大学に入るのもありです。
もしそうでなくても、大学入試をして自分が入れるできるだけ良い大学に入りましょう。まずはそこからです。
その大学に通いながら航空大学校を受験(2年終了見込みから受験可能)してチャンスをうかがいましょう。それで航空大学校に受かったらラッキーです。
大学辞めて航空大学校に行きましょう。
航大に受からなくても航空大学校は毎年受けられるので、受け続けて就活では航空会社の自社養成も同時に受けましょう。
自社養成は倍率が高く、確率だけで言うと期待はできません。
自社養成に合格できなくても、航空大学校は年齢制限ギリギリまで受け続けることができます。それでもなれなかったら働きながら自分で免許取る方法があります。
一番大切なこと
パイロットになるために一番重要なのは「運が良いこと」です。これを言っては元も子も無いですが本当です。
パイロットを志す上で所々自分の力ではどうしようもないことが多々あります。
例えば、航空身体検査や試験当日の天気です。
入学や入社試験の身体検査の日に風邪を引いたら受かりませんし、血液検査や他の諸検査の結果は自分ではどうしようもありません。
また、試験当日の天気も神のみぞ知るです。
パイロットの試験は不公平です。なぜなら、試験の日で天候が違うからです。風のない晴天の日に試験を受けるパイロットがいれば、暴風が吹き荒れる嵐の中試験を受けるパイロットもいます。その合格基準はどちらも同じです。
今パイロットになっている人は時にはそういう偶然をいくつもくぐりぬけ、合格し続けてきた人たちなのです。
でもそういう試験体系を取っていることに僕は納得しています。もし自分がお客さんとして飛行機に乗っているときを考えたら、パイロットは運がいい人であってほしいからです。
しかし、全てが運で決まるわけではありません。
自分がコントロールできることはしっかり準備して、あとはリラックスして試験を受けるのが大切です。