ここだけのパイロットの話 各空港備忘録

成田国際空港【RJAA/NRT】

投稿日:25/11/2020 更新日:


成田国際空港の備忘録です。

成田国際空港の特徴

千葉県にあり、都内からはアクセスがやや悪いです。

今は羽田空港も国際線がたくさん出ているので都内在住の人は羽田空港の方がアクセスは良いと思います。

日本の玄関口にもかかわらず24時間営業ではなく、日本の航空行政の敗北を象徴する空港の一つとなっています。

都内からだと成田エクスプレス、スカイライナー、空港リムジンバスだど公共交通手段はたくさんあります。

一番早いのは京成スカイライナーで約40分ほどで、上野か日暮里から出ています。

成田エクスプレス(NEX)はJRの特急電車で都内や23区外、横浜方面からでも乗ることができます。

滑走路は2本で日本最長の4000m滑走路があります。もう1本は関西国際空港の滑走路です。

[成田の滑走路]
RWY16L/34R[2500m]
RWY16R/34L[4000m]

成田空港のここが要注意

注意点①:迷路のような誘導路

成田空港の注意点として真っ先に挙げられるのは分かりにくい誘導路です。

くねくねと曲がっていて分岐も多くとても分かりづらいです。

誘導路の間に家などがあったりして日本の航空行政の敗北を見ることができます。

(AIP Aerodromes RJAAから引用)

注意点②:2500mしかないRWY16L/34Rの運用

2本あるうちの滑走路のRWY34R/16Lの長さは2500mです。

長距離国際線の重重量の飛行機にとって離陸するのには長さが足りません。

降りる分には燃料を消費しているので問題はありません。

よく直前でApproach Typeが変わる

北風か南風で滑走路の向きは異なりますが、羽田空港ほどTail wind operationはやらないです。

少しでも南風だとRWY16L/Rの運用になります。

Approach TypeはILSのみでとてもシンプルですが、”ILS Z”と”ILS Y”があり運用の明確な決まりが無いためパイロットにとっては直前でアプローチが切り替わる要注意な空港の一つです。

北風運用

北風運用時は到着機はTYLERもしくはELGARというポイントに集められてRWY34RかRWY34Lに着陸します。

(ILS RWY34L approach:AIP Aerodrome RJAAから引用)

(ILS RWY Y 34R approach:AIP Aerodrome RJAAから引用)

西からの到着機はTYLERに、東からの到着機はELGARを指示されることが多いです。

しかし、RWY34RなのかRWY34LかはApproachにコンタクトして見るまで分からないのがスレットです。

ILS34L、ILS Y 34R、ILS Z 34Rなのか3択です。

ATISにILS Y 34Rとあっても普通にILS Z 34Rを指示される場合もあります。

南風運用

到着機はGEMINもしくはNORMAというポイントに集められてRWY16LかRWY16Rに着陸します。

(ILS RWY Y 16L approach:AIP Aerodromes RJAAから引用)

(ILS RWY Y 16R approach:AIP Aerodromes RJAAから引用)

西からの到着機はGEMIN、東からの到着機はNORMAが指示されることが多いです。

しかし、北風運用の時と同様にRWY16RなのかRWY16LかはApproachにコンタクトして見るまで分からないのがスレットです。

ILS Y 16L、ILS Z 16L、ILS Y 16R、ILS Z 16Rなのか4択です。

ATISにILS Y 16Lとあっても普通にILS Z 16Rを指示される場合もあります。

RWY16Lからの離陸の最低気象条件に注意

成田空港のRWY16Lからの離陸は国内では珍しくCIGの要件があり、Takeoff minimaはCIG 200ft-RVR/VIS 1600mです。

離陸経路に障害物がある一定の場合にこのようにCIGが要件として必要になります。

飛行方式設定基準によると以下の記載があります。

障害物上の通過高が60m(200ft)以下となるような上昇勾配引き上げ(通常、近接する低い障害物が対象となる。)は行わない(図Ⅰ-3-2-3参照)。ただし、OISから突出する近接障害物の標高/高及び位置を、方式図中に注記(第5章「出発方式の公示情報」参照)するとともに、第Ⅴ部第2章「離陸の最低気象条件」2.2.1.2の規定に従い、最低気象条件を引き上げるものとする。

(飛行方式設定基準から抜粋、引用)

PDG 3.3%から引き上げる場合はその旨が記載されることになっています。

SIDのチャートを見てもPDG3.3%の引き上げはありません。その代わりに障害物を注記し、最低気象条件を引き上げCIG 200-RVR/VIS 1600mとなっています。

(AIP Aerodromes RJAA SIDの図から抜粋引用)

つまり、MAX183ft、対地48ftの障害物があるので最低気象条件が上がっています。


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