ここだけのパイロットの話 質問箱

パイロットに向いている人ってどんな人ですか?

投稿日:25/05/2020 更新日:


Jです。

今回ですけども、よく聞かれる質問に答えます。

「私ってパイロットに向いてますか?」

知らんがな。と言いたいところですが、それは置いといてざっくり答えます。

 

学生からよく聞かれるのですが、シンプルにしてかなり難しい質問です。

実はパイロットという職業はこういう人は向いているというのがないのです。

言い方を変えれば9割以上の人は普通に訓練すれば普通になれるということです。

しかし、僕は性格として向いていない人は確実に存在すると思います。

というわけで、向いている人の特徴はあまり答えられないので、どういう人が向いていないかを答えることにします。

パイロットに向いていない人3つの特徴

①勉強が大嫌いでアレルギー的に受け付けない人

パイロットはなるまでにかなりの勉強時間を要します。しかし、その内容はたいてい暗記すれば何とかなるものです。

その勉強という作業をできるかできないかが大事です。

そして、パイロットになった後も一生勉強が必要です。その量は膨大です。

半年ごとに資格維持の試験があり、それに合格し続けないと乗務することができません。

勉強が好きである必要はありませんが、大嫌いな人はパイロットになったとしても辛いだけだと思います。

②パイロットに全く興味がない人

これは特に重要です。飛行機や空を飛ぶことに全く興味がない人はつらいと思います。

「なんとなくカッコいいから」「受けたら採用された」「就職活動の数ある職種のひとつで受けたらたまたま受かった」といった程度は大丈夫です。

そんな人はたくさんいます。そういったふわっとした理由で受かった人でも、「せっかく受かったし、やるからにはパイロットになってやろう」と思うものです。

ここで言っているのは、あなたなんで受験したの?というレベルの興味がない人のことです。

パイロットの昇格訓練は楽しいことよりもつらいことの方が多いです。

飛行機に少しも興味がなかったり、特になりたくない人は勉強するモチベーションが沸かず、やっていても辛いだけだと思います。

「自分ってパイロットに向いているか」と考える時点で興味があるということなので、ここの項目については大丈夫かと思います。

③真面目すぎる人

僕はこの項目が最重要だと思っています。

このタイプの人は高学歴の優秀な人に多いと思います。パイロットになるまでに勉強しなければならない項目は膨大です。大学受験の範囲よりもかなり多いです。

さらに、勉強だけではなくパイロットになるためには乗り越えなければならない難関がいくつもあります。そして時には理不尽なことにも直面することがあります。

真面目過ぎる人は全てを自分で抱えて、全てを真に受けて、潰れてしまうと思います。

ある程度の開き直りや辛い経験もネタにして笑い飛ばすというような対処ができることが必要になります。

なる前に向いているか向いていないか考えることに意味はない

パイロットになる前に自分が向いているか向いていないか考えることに意味はありません。

訓練していく過程においてパイロット的な思考は身についていくからです。

この上記の3つの条件に当てはまらなければ自分は向いていると思っていただいて構いません。

僕の経験上、向いていない人は全体の1割くらいだと思います。

入社しても訓練で失敗してパイロットになれない人の割合も約1割ですので、なかなか正しいかと思っています。


-ここだけのパイロットの話, 質問箱

執筆者:

関連記事

Low ALT Level off!不自由すぎる那覇空港の実態

Jです。   今回ですけども、今日は個別の空港のトピックです。 その空港とは那覇空港です。   那覇空港は国内で交通量が大きい空港の1つです。 その交通量をさばくために2020年の …

航空大学校の2次試験(身体検査)に健康でも落ちる理由

Jです。 今回ですけども、航空大学校2次試験の仕組みについて解説したいと思います。 もし航空身体検査を前もって自前で受けて問題なければ、本番の航空大学校2次試験の身体検査は大丈夫かという質問をよく受け …

晴れの空

全国の各空港の天気を誰でも簡単に確認できる方法

Jです。 パイロットにとって空港の天気を確認することはとても重要です。 天気と言ってもただ単に「晴れ」「くもり」「雨」が分かればいいわけではありません。 具体的には風向風速、雲底高度、視程、その他運航 …

パイロットって泊まり先ではどのようにして過ごしていますか?

Jです。 今回ですけども、パイロットの泊まり先での過ごし方についての記事です。 泊まり先での時間のパターン まず、航空業界用語ですが、乗務後の泊まりのことを「ステイ」と言います。 国内線の乗務だと大き …

訓練生へ~パイロットは訓練時間無制限であれば誰でもなれる~

Jです。   今回ですけども、エアラインパイロット(副操縦士)になるための訓練について思うことです。 僕はパイロットになるのに素質は特に必要ないと思っています。飛行機の操縦自体はそんなに難し …