Jです。
航空大学校の入試問題総合partⅡの過去問を2014年度まで遡って分析しました。
分析にあたり以下の点にご注意ください。
・ここに出てくるデータは全て2014年度の入試問題とそれ以降のもの
・物理の分析に当たり、単元は重複してカウントする。
→例えば電磁気と力学の組み合わせの問題であれば「力学」でも「電磁気」でもカウントする
・数学の分析に当たり、出題問題の単元は1問で複数の単元を含んでいたとしても主たる単元のみをカウント
→例えば三角関数を含んだ2次関数の問題が出た場合、「三角関数」&「2次関数」と2重にカウントせず、「2次関数」(もしくは「三角関数」)としてカウントする
それでは見てみましょう。
目次
構成
まずは構成から押さえておきましょう。
総合partⅡは1問6点で全25問の150点満点です。
2014年度から問題の構成は変わっていません。
問25,26:気象・環境問題などの知識
問27~35:物理
問36~45:数学
次に各分野の細かい分析をしていきます。
問21~24:時事問題(計4問:24点/150点)
この時事問題の中に航空系の問題が必ず1問含まれています。
その年の航空系のニュースは調べておいた方がいいと思います。
航空系の時事問題の具体的な内容は以下の通りです。
2015年度:LCCと2030年問題について
2016年度:2030年問題について
2017年度:航空法のドローンに関する記述について
2018年度:空港の民営化について
2019年度:成田・関空の滑走路の長さ、那覇空港の新滑走路について
2020年度:新しい政府専用機について
2021年度:成田空港3本目の滑走路新設構想について
2022年度:科博廣澤航空博物館
航空系ではない時事問題では、その年に話題になったことや大きなイベントについて出題されることが多いです。
例えば、アメリカの大統領選があればその制度について、新元号になったらその話題についてなどが挙げられます。
知っているだけで時間をかけずに6点取れるのでここで得点できるのはとても有利だと思います。
しかし、事実上出題範囲が無いので物理や数学と比べて対策がかなり難しいです。
普段から最低限のニュースはチェックしておきましょう。
問25,26:気象や環境問題などの知識(計2問:12点/150点)
毎年2問は理系の知識問題が出題されています。
出題範囲は気象や環境問題などです。
以下は過去の出題内容です。(各年度2題)
2015年度:「地球温暖化」「天気図」
2016年度:「地球温暖化」「天気図」
2017年度:「PM2.5」「フェーン現象」
2018年度:「オゾンホール」「台風」
2019年度:「エルニーニョ現象」「雲について」
2020年度:「ヒートアイランド現象」「大気の構造」
2021年度:「地球温暖化」「水の状態変化」
2022年度:「オゾンホール」「天気図」
少なくとも過去に出た用語は覚えておきましょう。
また天気図と地球温暖化は複数回出題されているので1度出題されたものでも再度出題されることがあるようです。
エルニーニョ現象だけでなくラニーニャ現象もセットで覚え、PM2.5ときたら黄砂など他の大気汚染についても調べてみると良いと思います。
関連するものは一緒に覚えてしまいましょう。
問27~35:物理(計9問:54点/150点)
数学に次いで2番目に配点が多い物理です。
文系で物理を履修していなかった人にとっては関門です。
物理は大きく分けて「力学」と「それ以外」に分けることができますが、今回は「力学」「熱力学・波動」「電気・電磁気」に分けました。
さて、出題内容を見てみましょう。
【物理過去9年の各分野出題回数】
【力学分野】
・等加速度直線運動 11回
・力のモーメント 7回
・力のつり合い 5回
・エネルギー保存則・仕事 8回
・運動方程式 4回
・運動量保存則と力積 4回
・円運動 5回
・空気抵抗 2回
・単振動 1回
・浮力 1回
【熱力学・波動分野】
・熱力学 5回
・比熱 1回
・波動(ドップラー効果以外) 5回
・ドップラー効果とうなり 3回
【電気・電磁気分野】
・クーロン力 4回
・電場と電位 4回
・電子回路 13回
・電磁気 7回
ぼぼ毎年出題されている分野は「等加速度直線運動」「電子回路」です。
これには航空大学校が求めているものが現れています。
飛行機の動きは「等加速度直線運動」と「力のつり合い」と「モーメント」です。
また飛行機のシステムでは電気を使用しているので最低限電気の知識も持っておいてほしいというところだと思います。
飛行機の電気系統のシステムにはDCのシステムとACのシステムがあります。
基本的なDCやACが何なのか分からないと困るわけです。
もちろん航空大学校に入学後も座学で電気の授業あります。
複雑な問題は出題されず、ほとんどが公式に当てはめれば解けてしまう問題ですが、たまに本質が分かっていないと解けない問題を出題してきます。
本質が分かっている人にとっては簡単な問題ですが、公式の丸暗記をしている人は解けないので点数はもちろん解答時間にも大きな差が出ます。
本質の理解に努めましょう。
問36~45:数学(計10問:60点/150点)
数学は総合partⅡの中で最も多い配点となっています。
数学の出題内容を見てみましょう。
【数学過去7年の各分野出題回数】
・因数分解 3回
・場合の数 2回
・数式計算 3回
・n進法 2回
・2次方程式、不等式 8回
・2次関数 3回
・三角関数 11回
・指数対数 17回
・図形 14回
・ベクトル 8回
・微分、積分 16回(数Ⅲ分野含む)
・極限 2回(数Ⅲ)
2次関数、2次方程式、指数対数、図形、三角関数、ベクトル、微分積分は頻出分野であることが分かります。
因数分解、2進法、場合の数は頻度は少ないもののたまに出題されます。
2014年度問19と2020年度問16の「なす角」の問題や、2015年度問25と2017年度問25の「絶対値を含んだ関数の積分」など、同じ問題が出題される場合が多いので、過去問は確実に解けるようにしておくと良いと思います。
2020年度の問25、2022年度の問23,問25の問題は数Ⅲの知識がないと解けないので募集要項の出題範囲は曖昧です。
それとみんな思っているかもしれませんが、年度によって問25の難易度の差が激しいです。
しかしながら全体的に万遍なく出題されるので対策はやりやすいと思います。
まとめ:大事なのは総合力
人それぞれ得意分野、苦手分野があると思います。
分析なくして効率的な勉強はできないと思います。
得意分野はさらに磨きをかけ、苦手分野は人並み以上にするのが大事だと思います。
入試は総合partⅡだけでなく、総合partⅠ・英語もあります。
要は総合力が大事なので、それらの科目全部含めて作戦を立て、確実に勉強を積み立てていってください。
時間は限られています。
例えば2問しか出ない気象の問題に膨大な時間を費やし、配点の大きい物理を捨てるのは非効率な気がします。
もっとも効率的に(楽に)点数を伸ばせるよう頑張りましょう。
本ブログでは実際に数年分の過去問を解説しています。
ここには試しに1年分載せておきます。