今回の記事ではパイロットという職業の良いところのひとつを紹介します。
それは職場の環境です。
どのような環境かというと一言で言うと「他人と競わない」ということです。
これについて詳しく書いていきたいと思いますのでパイロットを目指す方は参考にして頂けると幸いです。
評価システムは絶対評価
まずパイロットの評価システムは絶対評価です。
パイロットは6カ月に1度審査に合格しなければ乗務することはできません。
その評価のシステムは絶対評価で、他人と比べられることはありません。
100人いたら100人合格というのがパイロットの試験です。
したがって自分の持っている有益な情報やスキルを他人に提供するということが自然に当たり前になっています。
他人との戦いではなく自分との戦いなのです。
絶対評価のシステムは安全性の確保に欠かせない
この絶対評価は実は安全性と密接に関わっています。
例えば大学受験のことを考えてみてください。
定員がある試験というのは相対評価です。
当たり前ですが、定員割れしていない場合は絶対に競争が起こります。
そうすると自分が受かるためには有益な情報は自分1人が持っていた方が有利です。
飛行機を運航する上で、競争が起こることが安全性を下げる理由が分かると思います。
例えば、誰か1人が失敗しそうになったことなどの情報を他人に教えず自分だけ持っていたらどうでしょうか?
自分が失敗しそうになったことはきっと他の誰かも失敗しやすい箇所だと思います。それを共有しなければ誰かが本当に失敗してしまうかもしれません。
絶対評価のシステムだからこそ積極的に他人に情報共有をすることができるのです。
同期とは一生の付き合いになる
絶対評価なので同期との争いも起こりません。
自分が頑張ればいいのです。
一緒に副操縦士に昇格して、一緒に機長に昇格して、最後は一緒に定年退職します。
僕は航空大学校出身なので、同期とは20代前半からの付き合いとなります。
ずっとお互いに助け合って知識や技術を高め合っていきます。
時には人生相談をしたりといった関係性になっていきます。
また、機長になると、教官や査察などの役職がつくこともありますがどっちが上とか下とかないのでとても平和です。
知り合いに前職が証券会社でそこから転職してパイロットになった人がいるのですが、パイロットの職場環境は天国だと言っていました。
ノルマに追われることは無いし、みんなで助け合う環境が良いそうです。
唯一のノルマは半年に1度審査に合格することですが。
パイロットの管理職は存在するが・・・
パイロットの管理職(部長など)は存在します。
あれ?じゃあ出世争いはやっぱりあるんじゃんと思いきや実は裏があります。
実は管理職になりたい人はほとんどいません。
理由は簡単です。
管理職になるとしょうもない会議などの地上勤務が増えてフライトがなくなるからです。
パイロットになった人は空を飛びたくてパイロットになっています。
しかも、フライトが減るということはフライトの手当も減るということです。
会社によっては部長の手当よりもフライト手当の方が高い場合もあるそうです。
要するに誰も出世したくないので出世争いは起こらないということです。
むしろ、美しき譲り合いの精神(ただの押し付け合い笑)が発揮されます。
実際に管理職になるかならないかは会社の人事なので本人たちにはどうしようもないのですが、なったらみんな苦笑いしています。