ここだけのパイロットの話

パイロットは競争しない。情報共有して皆で合格をつかみとる

投稿日:01/06/2020 更新日:


今回ですけども、パイロット独特の文化についてです。

私が良いと思う点は、パイロットの社会は競争社会ではないという点です。

情報共有の文化

パイロットは訓練の初期段階で同期と情報を共有してみんなで合格を目指すように言われます。

この「情報共有」というのがパイロットにとって1番のキーワードです。

この情報共有が重要な理由は2つあります。

①安全度が増す

安全の観点から情報共有は必須です。

例えば、誰か一人が訓練でミスをしたとします。ミスは誰にでもありうることですが、それで終わらしたらいけません。

その情報を他の仲間に共有することで仲間が同じミスをしなくなり、結果として全体の安全性が高まることになります。

しかし、もしパイロットの世界が競争社会だったらどうなるでしょうか?

ひとりひとりが有益な情報をライバルに共有するでしょうか?

そうです、もし競争社会であったらライバルよりも自分が向きに出るために有益な情報を隠してしまう可能性が出てきます。

大げさに言うとそれでは空の安全が脅かされてしまうことに繋がります。

従ってパイロットの試験は全て絶対評価となっています。訓練・試験では決して誰かと比べません。

10人いたら10人全員で合格できるように切磋琢磨するような訓練です。

②訓練効率が上がる

訓練はお金がかかります。航空大学校やエアラインの訓練は、あらかじめ訓練回数が決まっており、その回数で合格基準に満たなければパイロットになれません。

ある意味平等ですが、限られた訓練回数の中で審査合格基準になるためには自分1人の経験ではあまりにも少なすぎます。

そこで、仲間と情報共有してその仲間の経験も自分のものにすることによって規定内の訓練回数で合格することが可能になります。

同期がいればいるほど経験の数が多くなるため有利になります。

航空大学校時代、夜全員でその日の訓練で学んだことや失敗したことを同期で共有するミーティングをしていました。

意見が分かれたらディスカッションしたり、誰かが誰かにアドバイスしたり、そういう時間が大切です。

パイロットの訓練は同期全体で評価される面もある

パイロットになるための訓練では審査は個人個人の絶対評価なのですが、訓練においてはその同期全体で評価されることが多いです。

まとまりが良ければ「あの期は優秀」となりますが、まとまりが悪ければ「あの期は出来が悪い」となります。

昨日一人に言ったことが翌日他の人にもしっかり伝わっているとまとまりが良い、よく勉強しているという評価になります。

そして、そういう事前情報・印象は教官・審査官にも伝わり、まとまりが悪い期では訓練に失敗する人が多くなる傾向にあります。

逆に優秀な期だという印象があれば審査で多少失敗しても大丈夫なことがあります。人間が人間を見るわけなのでそういう先入観は意外に大事だったりします。

例えば10人同期がいたとして「1人が100点、7人が90点、2人が60点のグループ」と、「10人が80点のグループ」があったとすると、後者の方が良いグループとして見られます。

まとまりのある良いグループとして見られると全体として訓練がスムーズにいく傾向にあります。

このようにパイロットの世界は独特の文化があり、それまでは大学試験・入社試験の競争を勝ち残ってきた人にとって見れば180度違う概念で最初は戸惑うこともあるかと思います。

個人的にはとても平和な文化で気に入っています。


-ここだけのパイロットの話
-

執筆者:

関連記事

パイロットになるには学歴が必要ですか?きれいごと無しで答えます

よくされる質問に答えていきます。 「パイロットになるのは学歴が必要ですか?」という質問です。 この質問はパイロットを目指している学生やその親によく聞かれる質問です。 「パイロットなんて高学歴に決まって …

英語の最短の上達方法[急がば回れ]

「英語ってどうやって勉強してますか?」という質問はめちゃくちゃよく聞かれます。 今回ですけども、英語の勉強法について答えていきたいと思います。 一番大事なのは発音 英語を勉強する上で最も大事なのは発音 …

航空大学校の2次試験(身体検査)に健康でも落ちる理由

今回ですけども、航空大学校2次試験の仕組みについて解説したいと思います。 もし航空身体検査を前もって自前で受けて問題なければ、本番の航空大学校2次試験の身体検査は大丈夫かという質問をよく受けます。 実 …

那覇空港【ROAH/OKA】

那覇空港についてです。 那覇空港の特徴 2020年3月に滑走路が1本増えて2本となった。 近くに嘉手納飛行場や普天間基地があり、それらの米軍の空域のせいで、民間機は不自由な飛行を余儀なくされている。 …

Low ALT Level off!不自由すぎる那覇空港の実態

Jです。 今回ですけども、今日は個別の空港のトピックです。 その空港とは那覇空港です。 那覇空港は国内で交通量が大きい空港の1つです。 その交通量をさばくために2020年の3月から滑走路がもう1本増え …