ここだけのパイロットの話 質問箱

パイロットって泊まり先ではどのようにして過ごしていますか?

投稿日:25/05/2020 更新日:


今回ですけども、パイロットの泊まり先での過ごし方についての記事です。

泊まり先での時間のパターン

まず、航空業界用語ですが、乗務後の泊まりのことを「ステイ」と言います。

国内線の場合

国内線の乗務だと大きく分けて2つのステイパターンあります。

早番と遅番です。

早番:朝早くから仕事が始まるが終わりが早い

遅番:昼過ぎから仕事が始まり終わるのも遅い

この早番か遅番かでステイ先でできることが変わってきます。

乗務割によって宿泊地に到着する時間は違いますが、早番は基本的には夕方には仕事が終わります。早い時は昼過ぎには仕事が終わるため、観光をしようと思えばすることができます。しかし、翌日が早いことが多いため、遅くまで活動できません。

逆に、遅番だと夜の9時頃まで仕事があることが多いです。そのため観光はできません。簡単にご飯を食べてホテルですぐ寝ることしかできません。翌日の仕事始めは遅めなのでそれまでは朝ごはんをゆっくり食べたり、ランチに行ったり、比較的ゆっくり過ごせます。

国際線の場合

国際線の場合は出発時間は路線によって変わりますし、路線によって現地での滞在時間も変わってきます。

それに時差があります。路線によってフライト時間、時差は違いますので時間のパターンは一概には言えません。

過ごし方は2タイプに分かれる

一般論として泊まり先の過ごし方ですが、大きく分けて2通りのパイロットがいます。

①アクティブタイプ

色々動き回る人です。

色々出歩く人は旅行のように出歩いています。

観光地を巡って、名物料理を食べてみたり、有名なお店で食事したりします。

②ひきこもりタイプ

出歩かない人は基本的にホテルで過ごします。

日本から持って行ったものをホテルで食べたり、近くのスーパーで食べ物を買ったり、近場のレストランで済ませたりします。

最近ではUber Eatsなどのデリバリーサービスもあります。

基本的に日本時間で過ごし、動画を見たり、ホテルのジムで少し運動したりなど家と変わらないように生活します。

昔と今の違い

一昔前はクルー全員で食事に行くのが当たり前だったようです。現地に到着後一緒にご飯に行きます。

時には一緒に観光にも行っていたとか。

しかし、今は若い人を中心に外に出ない人が急増しています。キャプテンに誘われても断るそうです。時代を感じますね。

しかしながらこれには理由があります。僕もたぶんまだ若い方なので気持ちが分かります。

理由①:滞在時間が減った

まずクルーで出ない一つ目の理由は「疲れるから」です。

あまり知らない人と時間を決めて何時間も食事に行くのは気を遣いますし疲れます。

昔は地方空港の運用時間も短かったため、比較的早めにホテルに入って、次の日遅めの出発ということがよくあったそうです。

しかし、昔に比べて便が増えて地方の空港も朝早くから夜遅くまでやるようになり、ステイの時間が物理的に減りました。
つまり、勤務パターンが昔に比べて余裕分が無くなったのです。

昔に比べて遅くホテルに着いて、早くに出発するということです。国内であれば下手したら夜ホテルに入って12時間ちょっとしたらもうホテルを出ないといけないことも珍しくありません。

そんなに時間がない中、クルーで食事したり、観光をしたら疲れを取る暇がないというのが最近の若者の言い分です。

国際線に行っても昔は2泊4日だったものが2泊3日になったりと何かと余裕が削られてきていて大変です。

時差があるので日本時間の深夜早朝に暴飲暴食をすることを嫌う人も結構います。

理由②:アルコールに厳しい世の中になった

昔は車の飲酒運転は当たり前だったと聞いたことはないでしょうか。

航空業界は体育会系なので、昔はステイ先でクルーで食事に行くのは常識だったそうです。しかし、諸先輩方が色々やらかしまくった結果、今は乗務前アルコールチェックでアルコールが検知されたら一発で解雇になってしまうほど厳しい世の中になりました。

したがって、そんなリスクを冒してまで飲みに行くということは無くなりました。もちろん、アルコールが禁止されているわけではないので乗務に影響しないように飲むことは悪いことではありません。

しかし、せっかくお酒を飲むのに量と時間を気にして飲んでも楽しくないので行く人は減ってきています。

また、アルハラ、パワハラなどのコンプライアンスにもうるさい世の中なので上司(キャプテン)が部下(FO)を誘うの自体を躊躇う空気もあります。

まとめ

さて、自分の過ごし方ですが、僕は時間があるときにはぶらぶらひとりで出かけるようにはしています。

たまに有名な観光地に行ってみたりしますが、近くなければ行きません。

せっかくいろんなところに行っているのでその土地を知ることもこの仕事にとって大事だと思うからです。

疲れない程度にゆるゆるとやっております。

余程よく知っている人でなければ一緒に飲みには行きません。


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