ここだけのパイロットの話

羽田空港(RJTT/HND)のILS Z RWY23 Approach

投稿日:25/07/2023 更新日:


羽田は大空港でありながらクセのあるアプローチが多数あり、特にILS Z RWY23はILSでも特に癖が強いアプローチです。

今回はILS Z RWY23のポイントまとめです。

ILS Z RWY23 Approach

まず公示されたApproach Chartを見てみましょう。

ポイントは何でしょうか?

AIPのチャート

(AIPから引用)

Final Courseが2度Offsetしている

offsetしているのがこのアプローチの特徴です。

LOCをFollowしてきて、最後滑走路に正対しなければいけません。

下のように2度Offsetしています。

南風運用なので大抵は左から風を受けながら進入しているので最後は風上にHDGを少し向けないといけないのが難しいです。

DAは383ftですが、LOCをFollowしていった飛行機が滑走路の延長線上に来るのはどこのポイントなのでしょうか。

羽田ILS Z RWY23

(AIPから引用)

上の図にもある通り、GPのアンテナがThresholdから内側に336mで、LOCのビームがRWY23の延長線上と交わるのは1,228mの地点です。

その時の高度は計算すると269ftになります。

DAが383ftなので、DAの時点ではまだ滑走路の延長線よりも飛行機が左にいるということになります。

300ftくらいから2度Trackを左に振る操作を始めたら良いと頭に入れておくとうまくいくかもしれません。

RVR800mでDA383ftで何が見える??

RWY23のアプローチライトは870mです。

LOCのビームと滑走路の延長線上の交点が滑走路末端から1,228mでその時の高度は269ftです。

そこから計算するとDA383ftの時、滑走路末端から1,228mの地点からさらに663mの地点、つまり滑走路末端から1,891mの地点です。

RVR800mと言うことは滑走路末端から滑走路末端から1091mの地点までしか見えないということになります。

アプローチライトは870mなのでアプローチライトは見えないということになります。

つまり、視程RVR800mでDA383ftでは何も見えない!!!

そんなことある???

RVR800mはJust Landing aboveですが、実際には降りられないということです。

DAの地点からアプローチライトの先端が見えるためにはRVR1,100m程度は必要ということになります。


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