ここだけのパイロットの話

羽田空港(RJTT/HND)のLDA W RWY23 Approach

投稿日:08/07/2024 更新日:


Jです。

今回は羽田空港のLDA W RWY23 Approachのポイントまとめです。

LDA W RWY23 Approach

(LDA W RWY23 Approach:AIP Aerodromes RJTTから引用)

ポイントは何でしょうか?

まずDATUMがmandatory 4500でDANON以降はmandatory 4000と高度の指定が多いです。

DISCOにはMax 210ktという速度制限もあります。

そしてFAF以降の降下計画はパイロットの自由です。

ひとつずつ見ていきましょう。

1番厳しい制限

このアプローチで1番厳しいところはどこでしょうか。

(LDA W RWY23 Approach:AIP Aerodromes RJTTから引用)

それは上のチャートを見てもらえれば分かりますが、DISCO-DANON間です。

2.8NMしかなくその間に500ft降下しなければなりません。

3度Pathだと計算上500ftは1.6NMあれば降ろせますが、飛行機はすぐには降りていかないのでそのリードを考えるとかなりタイトです。

DISCO-DANON間で追い風だとさらに厳しいものとなります。

DISCO通過時点でGround Speedが最大でも200kt程度になるくらいまで減速し、少なくとも1000ft/minで降下していかないと間に合わない可能性があります。

DAMBO(FAF)以降の降下計画

(LDA W RWY23 Approach:AIP Aerodromes RJTTから抜粋引用)

ILSと違って縦のガイダンスが無いので自分で降下計画を立てる必要があります。

どうせなら効率的に行きたいですよね。

MAPtを何ftで通過したいかをまず考えます。

(Visual Prescribed Track for LDA W RWY23:AIP Aerodromes RJTTから抜粋引用)

Google EarthなどでTrackの距離を測ってみるとMAPtからTouchdown pointまでの距離は約3.8NMとなります。

大体アプローチは3°Pathで行うので、3.8×318=1,208ftでMAPtを約1200ftでMAPtをヒットすればそのまま滑走路まで3度Pathで行けます。

DAMBO(D14.5ITL)の通過高度はmandatory 4000’と決まっていて、DAMBO(4000ft)~MAPt(1,208ft)間が9.6NMなので、1NM当たり291ftの計算です。

つまり、DAMBO 4,000ftからほぼ3度Pathとなる降下率で降りていけば良いことになります。

よって、MAPtを1,200ftでヒットしてそのまま滑走路まで3度Pathをキープしていくことが最も効率的だということになります。

しかし、個人的にはもっと低め低めで降ろしていっても良いと思っています。その方が簡単です。

ここではminimumの1000ftを下回らなければOKです。

MAPt以降の飛び方

MAPt以降横方向をどう飛ぶべきかもVisual Prescribed Trackに書かれています。

(Visual Prescribed Track for LDA W RWY23:AIP Aerodromes RJTTから抜粋引用)

しかし、ここがこのアプローチで一番難しい箇所です。

海なので地上物標が全くないからです。

気温がPathに影響してくる

気温が高いと飛行機の真高度は高くなります。「計器高度=真高度」となるのは標準大気中(海面上気温15℃)を飛んでいる時だけです。

同じ計器高度1,000ftでも海面気温が15℃よりも高ければ真高度は1,000ftよりも高くなります。

どれくらい誤差が出るかの概算をすることができます。

一般的に10℃温度が違ったら4%の高度差が出ます。

例えば、15℃よりも10℃高い海面上気温25℃の空気中を計器高度1,000ftで飛ぶ場合、1,000ftの4%なので40ftの誤差が出て、実際には真高度1,040ftで飛んでいるということです。

さて、MAPtを1,208ftで通過すれば3度のPathで降下できると言いましたが、これは15℃の時の話です。

真高度1,208ftで通過するためには計算が必要です。10℃で4%の差が出るので、各気温に対する計器高度の計算結果は以下の通りです。

35℃=1,111ft
25℃=1,160ft
15℃=1,208ft
5℃=1,256ft
-5℃=1,304ft

毎回同じ1,208ftで気温によって実際の高度は変わってきます。

面倒だと一律1100ftで通過すると決めておくと、Pathが3度よりも高くなることはないですね。

ここまでくると1000ftまでさっさと降りても誤差ですね。

どれくらいの視程になったら厳しい??

LDA W RWY23 ApproachのLanding minimaは視程6,000mです。

実はRWY23のApproach Lightの先端からMAPtまでの距離は水平距離で約5,600mです。つまり、計算上は6000mで実施した場合はMAPtの時点でVisual referenceをギリギリ目視できません

卓越視程なので見える可能性もあります。そういう微妙な時にはとにかく早く1000ftに降りることが重要です。

ちなみにFAFのDAMBOとRWY23のApproach Lightの先端の水平距離は約22.8kmなので視程25kmあればDAMBOから滑走路が見えるということになります。

経験上、RWY23は海に浮く離れ小島なので見つけやすいです。視程がそこそこ悪くても見つけることができます。

羽田空港(RJTT/HND)のLDA W RWY22 Approach


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