Jです。
今回ですけども、以下の質問に答えていきたいと思います。
これ、僕も思ったことあります。トイレに行きたいのにベルトサインがなかなか消えないことは良くありますよね。全然揺れていないのに何でベルトサインが消えないのかを解説します。
【答え】今揺れていなくてもこれから揺れる不安要素が存在しているから。
シートベルト着用サインのON、OFFは機長の裁量
まず、前提としてシートベルト着用サインのON、OFFの裁量は機長にあります。
OFFにするタイミングは誰がやっても同じになるわけではなく、同じ日の同じ天気でも機長が違えばタイミングは変わってきます。
したがって機長の天気の分析の技量でタイミングが違います。
シートベルト着用サインのON、OFFは安全に直結する判断
シートベルト着用サインの運用は1番難しいと言われています。
どれだけコンピューターによる数値予報が発達しても100%の予測はできません。
またどんなにベテランの機長でも当然揺れる場所・高度を100%把握することはできません。
安易にシートベルト着用サインをOFFにしてもし揺れに遭遇して誰かがけがをした場合、航空事故として機長自身の責任を問われてしまいます。
もし乗員・乗客がケガをした場合は業務上過失傷害、死亡した場合は業務上過失致死の罪に問われる恐れがあります。
それだけは絶対に避けなければなりません。
しかし100%予測できないからといって、シートベルト着用サインを飛行中ずっとONにしておくとお客様はトイレにも行くことができず、快適性が損なわれます。これではプロの仕事とは言えません。
このさじ加減がとても難しいのです。
ベルトサインのON、OFFはプロ目線で見ると絶好の腕の見せ所
ベルトサインをON、OFFにするタイミングは機長の腕の見せ所です。
OFFにするためにはこの先大きな揺れはないという自分の中での根拠が必要になります。地上での天気の解析、実際に飛んでみての雲の形等、判断の材料はいろいろありますが絶対的なものはありません。自身の経験と合わせて総合的に判断するしかないのです。
自分の中で揺れるか揺れないか判断できないときは安全策を取ってONのままにしておくしかありません。
そういうわけなので機長の技量が1番現れると言っていいと思います。
理想は本当に揺れる時だけONにして、揺れないところではさっさとOFFにすることです。
それができればそれがお客様にとっては1番良いことになります。
機長になってからもより良い運航を目指して日々修業なのです。