ここだけのパイロットの話

コックピットからの写真撮影がダメなのかどうかは法律の解釈の問題

投稿日:10/01/2023 更新日:

過去、日本人パイロットがコックピットからの景色を写真撮影してSNSにアップし処分されたという例はたくさんあります。

しかし、Twitter、Youtubeなどを見たらそのような画像や映像は多いですが、全て外国の航空会社のものです。

なぜコックピットから写真を撮るのはダメなのでしょうか。

法的根拠

ダメな理由の法的な根拠と言われているのは航空法第71条の2の「操縦者の見張り義務」という項目です。

具体的には以下の通りです。

(操縦者の見張り義務)
第71条の2
航空機の操縦を行なつている者(航空機の操縦の練習をし又は計器飛行等の練習をするためその操縦を行なつている場合で、その練習を監督する者が同乗しているときは、その者)は、航空機の航行中は、第九十六条第一項の規定による国土交通大臣の指示に従つている航行であるとないとにかかわらず、当該航空機外の物件を視認できない気象状態の下にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをしなければならない。
(航空法第71条の2から引用)

専門的な用語が一部混ざっていますが、分かりやすく言うと

パイロットは飛行中にどのような飛行方式であっても、雲の中等にいて物理的に外が見えない場合を除き、他の航空機や障害物に衝突しないように見張りをしなければならない。

という意味です。当たり前の事しか書いていないように思います。

写真を撮ってはダメという条文ではないので写真を撮ることそのものが直接禁止されているわけではありません。

例えば、コックピットにパイロットでない第三者が乗って、写真を撮るのは問題がありません。その人にそもそも見張り義務が無いからです。

この見張り義務は当たり前のことで本来はパイロットはしっかり外を見て安全を確保しなさいというものであって、日本では一瞬たりとも外部から目を離してはいけないという建前になっています。

法律に「別に外を見なくてよい」とは書けないですからね。法律に書くとすれば上記のような表記になります。

その建前を日本の航空会社は律儀に守っているわけです。

ちなみにこの見張り義務には罰則は規定されていません。

法律で罰則は無いですが、現在それがバレると航空局が会社に注意し、会社は個人を注意する(もしくは何らかの懲戒)ということになります。

条文の解釈

ここからは先ほど挙げた条文の解釈の問題です。

一般的に、法律の条文はひとつでもその条文の解釈は複数存在します。

写真を撮ることが見張りをしていないと解釈もできますし、写真を撮る時には外も見ているので見張りは怠っていないという解釈もできます。

今のところ国土交通省航空局の本条文の解釈は「飛行中の写真撮影は見張り義務違反に当たる」という解釈です。

写真撮影以外の行為の解釈は以下の通りです。
①「操縦しながら食事をとるのは見張り義務違反に当たらない」
②「飛行中にApadをいじってマニュアルを確認したり、カバンから物を出し入れするのは見張り義務違反に当たらない」
③「トイレに行くのは見張り義務違反に当たらない」
という解釈です。

食事やトイレは結構目を離しますがそれは良いのでしょう。

逆に欧米などは合理的なので「飛行中の写真撮影は常識の範囲内であれば見張り義務違反に当たらない。その代わりそのせいでなんかあったら個人が責任取ってね」という考えなのでしょう。

現場の人間からすれば、スマホで写真を撮るのがNGならマニュアルを見る行為もトイレも食事も飛行中のアナウンスもできませんね。

我々も一応プロなので全神経を集中しないといけない場面と力を抜いて良い場面は分かります。

誰か裁判で白黒つけて欲しいです。

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