ここだけのパイロットの話

パイロットの転職について

投稿日:09/08/2022 更新日:


パイロットになって早くももう数年経ちました。コロナなどで経験を積めなくなった期間もありますが、年数だけは過ぎていきます。

先行きが不透明な時代です。

今回ですが、パイロットの転職について思うことを書いてみました。

「離職率は低い」の裏事情

パイロットの離職率は低いと言われていますが、これは正確ではありません。

「JALやANAなどの日系大手では離職率が低い」というのが正しいです。

パイロットはライセンスを持っているので世界中どこでも働くことができます。

そんな中で、会社を変えるというのは日常的に行われているのです。

会社が変わってもやる仕事は同じです。

日本の転職事情

そういった事情で、JAL、ANAの大手2社から他の日系航空会社に転職する人はほとんどいません。待遇や賃金面が下がるからです。

JALからANA、またはANAからJALへの転職はできません。どこにも書いてありませんが、しっかりと線引きがなされているようです。

子会社やグループ会社からの転職は結構あります。

大局的に見ると、パイロットは不足しており売り手市場です。

エアラインの機長経験者であればさらに引く手あまたでしょう。

転職に有利なATPLライセンス

ATPL(定期運送用操縦士)というライセンスはエアライン機長をする上で必須のライセンスであり、これがないと受験資格がない募集があります。

例えば、機長・機長候補募集の採用試験ではATPLが要件になっていて、持っていないと受験すらできないということになります。

日本のエアラインだとATPLを持っていなくても副操縦士として乗務することが可能で、副操縦士の募集ならATPLの要件がない場合が多いです。

日本ではATPLは機長昇格訓練投入のタイミングで取得します。

航空会社によっては早いところで副操縦士昇格後5年程度で機長になれるところがあり、このATPLを取得できます。

JALやANAの大手2社は副操縦士になってから機長になるまでは約10年です。

外国のエアラインでは副操縦士でもATPLの資格を必須としているところが多く、外資エアラインに転職するならATPLの資格は必須です。

日系から外資への転職

ATPLを持っていれば外資の航空会社の採用試験は受けることができます。

しかし、それを実際に行動するのはほんの一部の人だけです。

ほとんどの人が行動しない理由は以下の通りです。

①日本でエアライン機長をやっていると十分に食べていける額はもらえて、あえて冒険するリスクよりもそのままの方が安定している

②なんたって日本であり、日本語(英語が不自由)

③会社でATPL取るころには日本での生活基盤が出来上がっているため移住するとか言ってられない

④なんだかんだ言っても雇用が守られていて福利厚生も良い

このような理由が大半でした。

会社の文句言ってるおっさん達も文句は言うけど会社から出ていく気はない人ばっかりです。

メリットも多いのですが、外資のメリット・デメリットはまた別の記事で書いています。

パイロットの転職事情~外資のメリット・デメリット編~

 


-ここだけのパイロットの話

執筆者:

関連記事

夏より冬の方が飛行機は低いところを通るけど大丈夫?

今回ですけども、飛行機の高度な話です。 5000ftは本当に5000ftなのか 飛行機の高度計は必ずしも真の高度を示しているわけではないということをご存知でしょうか。 都心上空を5000ftで飛ぶ場合 …

晴れの空

全国の各空港の天気を誰でも簡単に確認できる方法

パイロットにとって空港の天気を確認することはとても重要です。 天気と言ってもただ単に「晴れ」「くもり」「雨」が分かればいいわけではありません。 具体的には風向風速、雲底高度、視程、その他運航の阻害とな …

航空大学校過去問解説

航空大学校過去問【2019年度(H31) 総合Ⅱ 解答・解説】

航空大学校の過去問解説です。 他の年度の過去問解説もありますのでブログのカテゴリーの中の「航空大学校過去問解説」からチェックしてみてください。 毎年同じような問題なので傾向と対策は立てやすいかと思いま …

整体

整体に久々行ったら体がヤバかった

今回は整体の話をしようと思います。 僕は定期的に体のメンテナンスで整体に通っています。 マッサージではなく整体です。 整体に行く理由 健康であるにはフィジカルとメンタルの2つが健康である必要があります …

訓練生へ~パイロットは訓練時間無制限であれば誰でもなれる~

今回ですけども、エアラインパイロット(副操縦士)になるための訓練について思うことです。 僕はパイロットになるのに素質は特に必要ないと思っています。飛行機の操縦自体はそんなに難しいものではないからです。 …