ここだけのパイロットの話

航空業界コロナを経てどう変わったか?パイロット編

投稿日:04/11/2021 更新日:


コロナ禍を経ても飛行機を飛ばすというパイロットの仕事そのものは変わりませんが、環境は大きく変わりました。

どう変わったのか書いてみました。

大きく変わったことは、フライトスケジュール給料ステイ先の過ごし方訓練・会議の方法です。

変化①:フライトスケジュール

飛行機が飛ばなければパイロットの仕事はありません。

したがって、コロナ前に比べてかなりになりました。

そして、ステイの数が減りました。航空会社が便の欠航を計画した関係で、ステイをする必要がなくなったことが原因です。

逆に言うと、ホテル代の節約のため各航空会社がパイロット・CAをステイさせなくて済む便だけ残したという考えもできるかもしれません。

月に10泊ほどあったステイも月に3泊あるかないかといった程度になります。

必然的にステイ無しの日帰りの乗務が増えました。

今まで家を空けることが多かったのが、ほぼ毎日家に帰ってくるようになったことで家庭がギスギスするようになったと言っていた機長もいました。

しかし、最近は便も戻りほぼコロナ禍前の忙しさに戻りました。

変化②:給料下がる

散らばった一万円札

当然ですが、飛ばなければ給料は下がります。

基本給はあるものの、バリバリ飛んでいた人はその時間給がなくなったため、かなり減りました。

会社によってはボーナスも無しです。

2021年の第2四半期の決算によると、JALは1460億円の赤字予想、ANAは1000億円の赤字予想となり、依然として厳しい状況が続いています。

会社にもよりますが、多い人で数百万円下がったという話もありました。

これも今はすっかり戻っています。

変化③:ステイ先の過ごし方

ステイ自体が減ったのですが、ステイした時の過ごし方も大きく変わりました。

以前であれば、クルーで食事に行ったり飲みに行ったり、時間があれば散歩したりしていましたが、全くホテルから出なくなりました。

ホテルに引きこもりです。

以前行ったことある店も休業しているところが多いです。

食事は家から持っていくか、ホテルで調達するか、軽く買い出しに出るかは人によりますが、とにかく1人で行動するようになりました。

このような過ごし方なのでどこに泊まっても同じです。

持ってきたものを食べて寝るだけです。これについてはコロナ禍を経ても同じようにホテルで過ごす人は多いです。

特に国際線では飲みに行かなければ体が楽ということに気づいたんじゃないかと思います。

変化④:訓練・会議の方法

なるべく人に合わないような方法が主流になりました。

これは航空業界に限ったことではないですが、リモート化が進みました。

シミュレーターを使った訓練・審査は対面でやるしかありませんが、その他の訓練や会議はリモートが主流になりました。

今でもリモートは残っています。

良かったこと

悪影響しかないですが、少しでも前向きに考えるために良かった変化を挙げてみました。

ほぼありませんが、絞り出しました。

Ⅰ:家にいることが多くなった(暇になった)

これをデメリットと感じる人も多いかもしれませんが、僕はどちらかと言えば良かった方に入ります。

自分の時間を多く持てるので、また忙しくなるまでにやりたいことをやろうと思いました。

コロナ禍が終わった今、元の忙しさが戻ってきています。

Ⅱ:体が楽だった

これは多くの人が言っていますが、体が楽ということです。

仕事が体に負担がかかっていたんだなということを再認識しました。

月のフライト時間が激減して体調がよくなりました。そのスケジュールに慣れていたら便が戻った後の生活がきつかったです。

Ⅲ.リモートで出社機会が減った

これまで会議などでも出社が当たり前であったのが、リモートが当たり前になりました。

出社せずに家から参加できるように変わったのがとても良かったです。

これは、ずっと続いてほしいと思います。

Ⅳ.無駄な飲み会が減った

お酒

飲みに行くのが悪という風潮になったので飲み会は無くなりました。

これは、プライベートでもステイ先でもです。これも続けようと思います。

財布にも優しいです。


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