Jです。
今回ですけども、航空の専門的な話です。ILS CategoryⅡ・Ⅲ(CATⅡ・Ⅲ) approachについてです。
なんのこっちゃと思うかもしれないので説明していきます。
最低気象条件(ランディングミニマLanding minima)
前提条件として飛行機が着陸できるかどうかをどうやって判断しているかを押さえておきましょう。
飛行機が滑走路に着陸できるかどうかは天気によって決まります。
天気といっても着陸には視程が重要です。それには滑走路視距離(Runway Visible Range:通称RVR(アールブイアール))という指標を使っています。
例えば報じられているRVRが1000mであれば、パイロットが飛行機の窓から前方1000mを見ることができるという意味です。
一般的なILS ApproachではRVR550mが着陸の最低気象条件とされており、RVRが400mや300mだと滑走路にアプローチをすることすらできません。
その場合は他の天気のいい空港に向かうか、上空で待機してRVRが550m以上に回復するのを待ちます。
CATⅡ・Ⅲは特別にRVRが550m無くても着陸してもいい運航
例えば霧の出やすい空港であれば、RVRがすぐに550m未満となってしまい、就航率が下がってしまいます。
そこで登場するのがILS CategoryⅡ・Ⅲ(CATⅡ・Ⅲ) approachです。
Category(カテゴリー)を略してCAT(キャット)と言います。パイロットはCATⅡ(キャットツー)、CATⅢ(キャットスリー)と呼んでいます。
以下、CATⅡ、CATⅢと書きます。
CATⅡはRVR300mあれば着陸できる運航です。
そして、CATⅢはRVR50m以上で着陸することが可能な運航です。
CATⅡ・Ⅲの設備がある滑走路はRVRが550mを下回っても就航することが可能なのです。
※現在はCATⅢはaとbの区別は無くなった
日本のCATⅡ・Ⅲ可能な空港と滑走路
CATⅡ・Ⅲ両方できる滑走路がある理由
ご覧の通りCATⅡ・Ⅲ両方できる滑走路があります。
「両方できるなら全部CATⅢやればいいじゃん」と思うと思います。
実はCATⅡよりもCATⅢの方が実施するための条件が厳しいのです。
例えば釧路は滑走路の幅は45mです。
その45mの滑走路に向かって数10メートルしか前が見えない状態で時速300キロでツッコむわけなので、冷静に考えるとすごく怖いことをしています。
従って、実施に際して法律に基づいたあらゆる要件をクリアしていなければならないことになっています。
その要件がCATⅡとCATⅢで違うのです。
CATⅡの方がCATⅢに比べて要件は緩いのです。
要件は地上施設、機上装置、パイロットの資格、気流の状態、風の強さなど多岐にわたります。
CATⅢは要件満たしていないけどCATⅡならできるという状況が存在するため、CATⅡとCATⅢ両方できる空港が存在しています。